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田中圭太郎「現場からの視点」

下関市立大学が“無法地帯化”…安倍首相元秘書の市長、無審査で人事・教育内容決定を可能に

文=田中圭太郎/ジャーナリスト
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下関市立大学(「Wikipedia」より/Wiki708)

 安倍晋三首相の元秘書である前田晋太郎下関市長が、「私物化」を進めている下関市立大学。昨年6月、経済学部しかない大学に、特別支援教育などについて研究する専攻科設置と、それに伴う教授ら数人の採用を、学内で定められた手続きを踏まず前田市長の要請で強引に決めた。

 この決定に教員の9割が反対すると、9月に前田市長は学内の審査がなくても教育研究に関することや、教員の人事・懲戒などを理事会の審理だけで可能とする定款変更の議案を市議会に提案。市長派の議員によって可決された。こうした「私物化」に、識者からも「見逃すことができない大学破壊だ」と声が上がっている状況を、前回の記事(『安倍首相元秘書の前田市長、下関市立大学を私物化…ルール無視し人事と教育内容に介入』)でお伝えした。

 4月に入り、この定款変更が有効になった。新型コロナウイルスの感染拡大で大学の授業はまだ始まっていないが、定款変更に伴う教育内容や人事、懲戒などの規程について審議が行われないまま新年度を迎えてしまった。しかも、副学長人事などが教員を無視して行われている。「無法地帯」状態とも言える下関市立大学の現状を、整理してみたい。

強引に採用した教授と市職員OBを副学長に

 下関市立大学の川波洋一学長は3月16日、大学に新たに2人の副学長ポストを置くことと、その人選について発表した。しかし、その内容に下関市立大学の教員のみならず、市長による大学の「私物化」に疑問を呈している市民も、呆れざるを得なかった。

 副学長の一人は、専攻科の教授に内定していた、ハン・チャンワン氏。前田市長が大学に採用を要請して、学内の教授らで構成される教育研究審議会の承諾を得ぬまま、強引に教授内定が決まっていた人物だ。しかもハン氏は、今年1月に、大学の経営側とも言える理事に任命されていた。

 下関市立大学には経済学部しかないが、ハン氏は特別支援教育の研究者である。大学の従来の教育分野とは関係ない人物が、市長の要請によって採用されただけではなく、副学長に就任してしまった。理事としても、教育研究を担当するという。あからさまなコネ人事に、「ここまでやるのか」と驚きを通り越して呆れる声があがっている。

 さらに、もう一人の副学長は前事務局長の砂原雅夫氏で、下関市の職員OBだ。学識経験者でもない人物が副学長に就任したことにも、「なぜ教育者でもない人間が副学長に就任するのか」と関係者は怒りを隠せない。こうした人事は、大学内の教員に事前に通知されることなく、報道機関に発表されたという。

 下関市立大学の理事長も、元副市長だった山村重彰氏が務める。理事会だけで教育内容も人事も決めることができて、なおかつ市長が強引に採用した人物と、市職員OBが副学長に就任することで、市長の意向を受けた大学運営が可能になってしまった。

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