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藤和彦「日本と世界の先を読む」

中国兵がインド兵を鉄棒で殺戮…中国の“侵略”が世界で活発化、原油価格高騰の懸念

文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員
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「Getty Images」より

 筆者は5月26日付けのコラムで中国インドの軍事衝突のリスクを警告したが、6月15日、標高約4200mのヒマラヤ山脈の中印国境沿いのラダック地方ガルワン渓谷で、中印両軍による衝突が生じた。インド側の発表によれば、インド側の死者は20人、中国側は約40人に上った。中印の国境地帯の衝突で死者が出たのは、45年ぶりのことである。

 両国はヒマラヤ山脈を走る4000kmを超える国境をめぐって長年対立している。インドを植民地統治していた英国の行政官が定めた実効境界線はあるものの、両国の間に合意はなく、国境地域に部隊を送って警戒活動を行ってきた。

 7月に入ってから中印両軍は係争地から撤退したとされているが、衝突が起こってから1カ月が経っても両軍の緊張関係が続いている。インド側は、今回の衝突を理由に中国との間で結んでいた「国境地帯の2km以内で銃や爆発物の携帯を禁止する」という国境交戦規則を一方的に破棄した。今後は「現場の指揮官の裁量で軍事行動を行ってもかまわない」としたインド側の対応に中国は猛反発している。

 軍事的緊張が収まらない最中の7月3日、インドのモディ首相は紛争地帯を電撃訪問し、「歴史は拡張主義勢力の敗北や後退を目撃しており、全世界が不正行為に反対している」と中国を批判した。インド人は歴史的に反中感情を持っているが、今回の一件で反中感情は高まる一方である。ロイターは7月7日、これに追い打ちをかけるように「6時間続いたとされる6月15日の恐るべき戦闘の様子」を詳細に報じた。

 前述したとおり、重火器による戦闘を禁ずる中印協定があったことから、殺戮は極めて原始的なものだった。夜間にパトロールを実施していたインドの小隊に多数の屈強な中国兵が襲いかかり、丸腰のインド兵を鉄の棒やくぎの付いた木の棍棒で殺戮したという。

 なぜ突然、中国側がこのような行為に及んだのだろうか。中国では「最高司令官である習近平氏の67歳の誕生日を祝福するために武功を立てようとした」との説がある(7月14日付現代ビジネスオンライン)。

緊張高まる米中

 中国によるインドに対する「嫌がらせ」は止まらない。中国は紛争が起きたカシミール地方におけるパキスタンの実効支配地域で、ダムや水力発電の建設を開始した(7月8日付日本経済新聞)。「パキスタン側のカシミール地方でプロジェクトを実施すべきではない」とインド側が一貫して主張してきたにもかかわらずに、である。

 その背景には「一帯一路」を進めている中国が、協力を得ようと融和的なアプローチを行っているにもかかわらず、拒否する姿勢を崩さないインドに対して「堪忍袋の緒が切れた」からだといわれている。国際社会はこれまで経済的便益のために中国の「蛮行」に目をつぶってきたが、もはや自らの価値観に反する行為を見逃すわけにはいかなくなってきている。

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