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小薮浩二郎「食品の闇」

食パンを買う際は表示に注意…「レシチン」「乳化剤(大豆由来)」記載のものを買うべき?

文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問
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「gettyimages」より

 天然系乳化剤として使用されているのは、主にレシチンです。動物、植物に含まれているリン脂質にはホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリンなどがありますが、これらの混合物をレシチン(広義のレシチン)と呼んでいます。厳密(狭義)にはホスファチジルコリンのことをレシチンといいます。

 マヨネーズは植物油、酢、卵黄をよく混ぜてつくった乳化食品です。卵黄のレシチンが乳化剤として役立っているのです。レシチン等リン脂質は悪玉コレステロールを減らしますので、動脈硬化の予防に良いとされています。また、認知症の予防に良いといわれていますが、今後の研究に期待したいところです。ただ、マヨネーズは脂質が多いですから摂り過ぎに注意しましょう。

 レシチンには大豆レシチンと卵黄レシチンなどがあります。

卵黄レシチン

 卵黄レシチンは高価であるため、食品や化粧品よりも医薬品関係で使用されることが多いです。卵黄を使用した食パンは食感や味が良いといわれていますが、卵黄を乳化剤として使用しており、値段は通常の食パンよりやや高めです。

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卵黄レシチン、レシチン、乳化剤

大豆レシチン

 大豆油の製造工程で粗大豆油から分離する方法で製造されています。食品工場で使用されているレシチンは粘度、含有量等の調整の目的で食用油脂を加えているため、褐色の液体ですが、高重度のレシチンは白い粉です。大豆レシチンは卵黄レシチンより価格が安いため、食品に広く利用されています。安いといっても合成乳化剤よりはかなり高価です。パン類、チョコレート、乳製品、ショートニング等に使用されています。

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植物レシチン、レシチン、乳化剤

 市販の食品でよく見かける表示は「乳化剤(大豆由来)」のように大豆という言葉を使用した表示です。乳化剤は合成であれ、天然であれ「乳化剤」とだけ表示しておけばよいのですが、合成ではないことを強調するためです。

分別レシチン

 レシチンに含まれているいろいろな成分を、溶剤に対する溶解性の違いを利用して分別したものです。厳密な意味でのレシチンであるホスファチジルコリンは水溶性です。高価格なため、食品に使用されることは少なく、もっぱら医薬品として使用されています。

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分別レシチン、レシチン分別物、レシチン、乳化剤

 食パンその他食品を購入する場合には必ず表示を確かめましょう。乳化剤に関しては「レシチン」「乳化剤(大豆由来」という表示があるものを買いましょう。価格が特別高いということはありません。

天然系乳化剤サポニン

 植物から抽出、精製したもので気泡力は極めて強く、食品添加物として使用することは認められています。大豆から抽出したもの、南米のバラ科キラヤから抽出したものがあります。キラヤから抽出したものがよく使用されています。少量の添加でも乳化力があります。ソフトドリンクの気泡剤として使用されています。また香料、ビタミン、色素などの乳化剤としても使用されていますが、このような場合には食品には表示されません。したがって消費者にはわかりません。

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大豆が原料のもの:大豆サポニン、サポニン、乳化剤

キラヤが原料のもの:キラヤサポニン、キラヤ抽出物、サポニン、乳化剤

 このたび小説『白い濁流』を出版しました。食品添加物の研究開発にまつわる数々の疑惑、添加物による事件、巧みな隠ぺい工作。食品の本当の危険性がわかります。恋愛小説としてもおもしろいかもしれません。ある新聞では高い評価をいただいております。この記事の読者の方に読んでいただければとてもうれしいです。

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

1945年、岡山県生まれ。九州大大学院農芸化学専攻(栄養化学講座)修了。製薬会社の研究部門ほか、添加物開発の最前線で添加物研究に従事する。研究歴40年以上で、第一人者。現在は、食品会社の顧問、食品販売会社特別顧問(品質管理)に携わる。著書に「悲しき国産食品」「食品業界は今日も、やりたい放題」「食品選び・おとなの知恵 ちょっと高くても、コッチ!」など。

Twitter:@eQuqANeNct8MdU5

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