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シリーズ〈映画・ドラマにおける“不幸の連鎖”を考える〉

名優・綿引勝彦や岡江久美子に何が…名作ドラマ『天までとどけ』の出演者に続いた悲しい死

文=峯岸あゆみ
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大家族をテーマにしたドラマ『天までとどけ』(TBS系)は、シリーズの最高視聴率19%という昼のドラマとしては驚異的な高視聴率を叩き出した大ヒット作。(画像は動画配信サービス「Paravi」公式サイトより)

 出演者、関係者に不幸な出来事や、不祥事などが立て続けに起こる映画やテレビドラマを「呪われた作品」などと呼ぶことがある。「呪われた」とはなんとも不謹慎な物言いだが、そうでも呼ばない限り、その作品に降りかかった「負の連鎖」を説明できないような、そうした作品というものが存在するのだ。このシリーズでは、そうした不幸、悲しみが連続した作品たちを取り上げてみたい。

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13人の子どもを生んだ母親役女優・岡江久美子のあまりにも悲しい最期

 1月13日に、俳優の綿引勝彦が昨年12月30日に膵臓がんのため75歳で亡くなっていたことがわかった。綿引といえば長い間、クセの強いコワモテの役が多かったが、昼ドラマ『天までとどけ』シリーズ(TBS系)で優しくたくましい父親役を好演したことで新境地を開き、その後も2010年代半ばまでは第一線で活動していた。

 綿引の代表作ともいえる『天までとどけ』シリーズは、綿引演じる新聞記者の父親と、専業主婦の母親、そして13人の子どもたちの成長を描いた大家族ドラマで、1991年3月から1999年4月まで全8シーズンにわたり制作された人気作品だった。

 しかし『天までとどけ』は、いくつもの悲劇に見舞われた作品でもある。今回の綿引の死は、彼の年齢を考えればある程度避けられなかったものという理解も可能であろうが、これまでほかの多くの出演者・関係者を、幾度となく不運がおそっているのである。

 まず記憶に新しいところでは、母親役を演じた岡江久美子の衝撃死であろう。2020年4月に新型コロナウイルス感染の疑いが生じた彼女は、当初、数日間PCR検査を受けられないまま容態が急変。そこから短期間で肺炎により63歳の若さで逝去した。朝の情報番組『はなまるマーケット』(TBS系)の司会を長年勤め、元気でハツラツとしたキャラクターが親しまれた岡江の急死は、多くの人を悲しませたと共に、社会全体に未知のウイルスの恐ろしさを知らしめるものになった。

名バイプレイヤーとして活躍中だった三男役の俳優・金杉太朗のまさかの転落死

『天までとどけ』の13人の子どもたちのなかに、岡江、綿引より先にこの世を去った人物がいる。三男・公平を演じた金杉太朗だ。次男・信平を演じた河相我聞を除き、『天までとどけ』にレギュラー出演した子役、若手俳優の多くが、大人になって俳優として成功した……とはいい難く、芸能界を離れている者も多い。そのなかにあって金杉は、シリーズ終了後も多くのテレビドラマにバイプレーヤーとして出演していた。

 そんな金杉に、まさかのアクシデントが襲う。2008年3月23日に東京メトロ有楽町線池袋駅にて泥酔状態でホームから線路に転落。意識を失ったまま病院に搬送され緊急手術を受けたものの、意識が戻ることがないまま亡くなったのだ。死因は脳挫傷、まだ33歳だった。

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1991年にNECアベニューから発売された川越美和のアルバム『MIWA Best Selection』のジャケット。「涙くんさよなら」も収録されている。

人気ドラマにも出演し、『天までとどけ』の主題歌を歌った川越美和、アパートの一室で孤独死

天までとどけ』関係者の不幸な死は、これだけではない。第1作、第3~6作の主題歌「涙くんさよなら」を歌っていた女優の川越美和も、哀しい最期を迎えている。

 川越は1988年にアイドル歌手デビューし、『天までとどけ』スタート時はまだ歌手としても活動していた。また、1990年代には女優として『スクールウォーズ2』(TBS系)や『HOTEL2』(TBS系)などへの出演実績もある。

『天までとどけ』第2作では、川越が歌う別のオリジナル曲が主題歌として採用されるが、第3作以降は「涙くんさよなら」に戻っている。彼女の芸能活動は、2000年代の半ばまでは確認できたが、いつの間にか表舞台から消えていた。

 そんな彼女の名前が久々にメディアで確認されたのは、2017年のこと。「週刊女性」(主婦と生活社)2017年6月13日号が、引退後の2008年4月に川越が都内の自宅アパートで死亡しているのが発見され、その時点で死後数日が経過していた……と報じたのだ。つまり、かつてはメジャーな活躍をした元アイドル、女優の死が約9年あまり表沙汰になることがなかった、ということなのである。この報道は、かつての彼女の活躍を知る人には、なんともいえない後味の悪さを残した。

長女役女優が「共演者、スタッフからのいじめを受けていた」と発言

『天までとどけ』シリーズの長女・待子役の若林志穂も、負の連鎖のなかにいる人物だろう。若林は斉藤由貴、中山美穂、南野陽子、浅香唯、おニャン子クラブなどと同じ1985年にデビューしたアイドルのひとりで、歌は鳴かず飛ばずながら、女優に転向して一定の成功を収めたというキャリアがある。

 若林は『天までとどけ』シリーズ終了後の2001年に、たまたま殺人事件の現場を目撃してしまったことでPTSDとなり、一時、芸能活動を休止している。この事件は、刃物を持った男と警官がもみ合いになり、両者が死亡するという凄絶なものだったといわれている。

 その後、復帰を果たした若林だが、今度は『天までとどけ』で自身の弟を演じた金杉の若き死のショックをきっかけに再び精神を病み、芸能界を引退したのである。

 その後、彼女が久々に公の場に顔を出したのは2017年。川越美和の死も報じた「週刊女性」の取材を受け、ショッキングな発言をしている。

 当時、バラエティ番組『爆報!THEフライデー』(TBS系)で企画された『天までとどけ』の同窓会に、自分への出演オファーがなかったこと、同番組が待子の存在がなかったかのように構成されていたことを根拠として、「『天までとどけ』の出演者、スタッフにイジメを受けていた」といった趣旨の告白したのである。

「週刊女性」の記事では、岡江久美子を含む共演者による、この若林の発言を否定するコメントもあり、いじめ、ハラスメントが事実か否かを第三者が判断することは難しい。

 ただし、少なくとも『天までとどけ』出演者たちが、今でも作中の家族のような付き合いをしている……というわけでないことは確かなのである。

峯岸あゆみ/ライター

峯岸あゆみ/ライター

CSと配信とYouTubeで過去のテレビドラマや映画やアイドルを観まくるライター。ベストドラマは『白線流し』(フジテレビ系)、ベスト映画は『ロックよ、静かに流れよ』(1988年、監督:長崎俊一)、ベストアイドルは2001年の松浦亜弥。

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