
新型コロナウイルス感染症拡大を受け、政府は東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に緊急事態宣言を発令することになった。街中から人の姿が減り始めている一方、真新しいリクルートスーツに身を固め、あくせくと歩きまわる“就活生”の姿が散見される。日本経済団体連合(経団連)などが定める新卒採用方針では、本格的な採用活動は6月1日からだが、企業・業界説明会やリクルーター面接はすでに始まっているようだ。コロナ禍での2回目の新卒採用が間もなく本格化しようとしている。
コロナ禍でも飲食伴うリクルーター面接?
早稲田大学文学部4年の女子大生は疲れた口調で次のように話す。
「去年、先輩たちが体験したような大混乱はさすがにないみたいですが、正直手探り感はぬぐえないです。今の活動の大半はリモートでの企業説明会、業界説明会が中心ですが、OBOG訪問や一部金融機関などのリクルーター面接などでは、リアルで社員の方と飲食店で会うことを求められることも多くて……これってコロナ禍で大丈夫なんでしょうか。
先輩たちから聞いていた話も、去年と今年ではまったく状況が違うように見えます。所属しているサークルに代々伝わっている『あの企業・業界はこれくらいの時期にOBOG訪問を始めれば良い』というような話も、去年は『まったく違った』ということですし、以前の就活の話はほとんど参考になりません」
一方、明治大学法学部4年の男子生徒は次のように頭を抱える。
「すでにオンライン面接を受けて、内々定をもらったという友人がいて、面接解禁って6月1日じゃなかったの?と焦っています。リモート状態でOBOG訪問やリクルーターにどうやれば接触できるのか、さっぱりわかりません。すでに敗色濃厚です」
10年間で激変した就活日程に翻弄され続ける学生
実は国や経団連などが定める4年制大学の新規卒業者の採用活動方針はこの10年間で激変していた。
経団連などの資料によると、2015年卒までは採用情報の発信や採用説明会などを行う「広報活動」は大学3年生の12月1日解禁、「採用選考活動」は4年生の4月1日解禁だった。ところが、16年卒で「広報活動」解禁は3年生の3月1日、「採用選考活動」は4年生の8月1日からに変更。17~21年卒では「広報活動」の解禁は同じく3月1日だったが、「採用選考活動」は6月1日に変わった。