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「日傘は1年でUVカット効果が落ちる」は本当?男性の日傘選びの意外なポイントとは

文=鶉野珠子/清談社
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「gettyimages」より

 これまで「日傘」というと女性が使うアイテムのイメージが強かったが、ここ数年は男性の利用者も見かけるようになってきた。酷暑の影響もあり、直射日光から身を守れる日傘は男女問わず必需品といえる。

 しかし、男性が日傘を購入しようと思っても、どれを選べばいいか迷ってしまう人も少なくないだろう。そこで、傘の専門家に選ぶポイントを聞いた。

日傘で体の表面温度は8~10度も下がる

「日傘を躊躇なく使っている男性は20~30代がほとんどではないでしょうか。あくまで私が感じた印象ですが、若い世代は日焼け対策など美容のために、年齢が上の世代はシンプルに暑さ対策のために使用している人が多いイメージがあります」

 そう語るのは、愛知県名古屋市の傘のOEM専門メーカー・アンベルの代表取締役を務める辻野義宏氏だ。辻野氏は、日本日傘男子協会の理事にも就いている。

「2010年頃に『日傘男子』という言葉が使われ始め、男性のユーザーが徐々に増えてきました。そして、12~13年頃から傘メーカー各社がメンズ向けの日傘を出し始めたのです」(辻野氏)

 とはいえ、男性のなかには「日傘は女性が使うもの」という認識を持っている人も少なくないだろう。男性が日傘をさすメリットは、なんなのだろうか。

「日傘の大きな利点は2つ、日射と熱射をしのげるという点です。直射日光を浴びると体温が上がって体が疲れてしまうので、日焼け対策だけでなく疲労軽減、さらには皮膚がん予防としてもおすすめです。日光対策には帽子をかぶるのも手ですが、髪型が崩れてしまったりスーツには合わなかったりと、ビジネスシーンで使うには難しいですよね。また、男性は短髪が多いため首の後ろが無防備になりやすく、日差しをダイレクトに受けてしまいます。首元は帽子でもなかなか守れませんから」(同)

 日傘であればヘアスタイルに影響せず、着る服も選ばない。誰もが手軽に日差しと暑さから身を守れるアイテムというわけだ。

「日傘をさすことで、傘内の日陰の表面温度は直射日光に比べて8~10度ほど下がるといわれています。体感温度は個人差がありますが、サーモグラフィカメラを使った検証では、日傘がある場合とない場合では人体の表面温度も8~10度くらい変わってくるようです。炎天下を何の対策もせずに歩くより涼しく感じるのは確実です」(同)

日傘選びのポイントは?

 いざ日傘を購入しようと思っても、各商品に「UVカット率」「紫外線遮蔽率」「遮光率」「遮熱率」といった言葉が並び、混乱してしまう人も多いだろう。これらの違いや効果はなんなのだろうか。

「『UVカット率』と『紫外線遮蔽率』は言い方を変えただけで、いずれも、どれくらい紫外線を遮れるか、日焼けしにくいか、という数値です。『遮光率』は、どれくらい日光を通さないかの指標。『UVカット』は日光のなかでも紫外線だけを防ぐという意味ですが、『遮光』の場合は紫外線や可視光線も含むすべての種類の日光の99.99%を遮ります」(同)

 これらの数値には、表記に厳格なルールがあるという。

「遮光率は99.99%以上でないと『1級遮光傘』と表記できません。ちなみに『100%』と表記しないのは、傘の縫い目から太陽光が漏れる可能性がゼロとは言えず、『完全』とは断言できないからです。UVカット率は90%以上で効果をうたうことができます。ちなみに、遮光率が99.99%あれば、記載がなくてもUVカット率も99%以上あると考えられます。そのため、紫外線を防ぎたい人は、特に遮光率に注目して選ぶのがいいでしょう」(同)

 一方、暑さを気にする人が注目すべきなのが「遮熱率」だ。

「『遮熱率』は、どれくらい熱を遮るかの指標。遮熱率が高い日傘ほど、暑さを感じにくくなります。だいたい30~50%あれば十分だと思います」(同)

 なお、遮熱率が30%以上あれば、必然的に遮光率も99.99%以上、そしてUVカット率も99%以上あると考えていいそうだ。

「急な雨にも対応できる晴雨兼用の日傘も人気です。日傘としての役割をどれくらい果たすかは商品によりますが、『ある程度の紫外線と日光が防げればいい』という人は晴雨兼用で問題ありません。日光アレルギーなどの理由で紫外線をできる限り防ぎたい人などは、一般的な晴雨兼用傘は避けてください」(同)

日傘の「内側の生地」に注目すべき理由

 前述の通り、日に焼けたくないのであれば遮光率、日陰をつくって涼しく移動したいのであれば遮熱率の高い傘を選べばいい。しかし、実際に店頭で商品のタグを見てみると、遮熱率の数値まで表示されている商品はあまり見かけない。

「実は遮熱率の検査基準ができたのはここ2年ほどの話なので、表記していないメーカーも多いのです。遮光率や遮熱率の表記がない場合は、傘の内側に注目してみてください。外側と比べて光沢のある生地であればポリウレタンでコーティングされていて、日光や熱をかなり防いでくれます」(同)

 数値は出していないものの、「遮熱効果あり」とうたっている商品はある。一般的には、遮熱率が35%以上あれば遮熱効果があるという。

「性能のほかにも、傘骨のタイプで悩む人も多いです。いろいろな形式がありますが、ご自身のライフスタイルに合わせて選ぶのがいいと思います。たとえば、営業で外回りが多かったり通勤時に乗り換えが多かったりと傘の開閉頻度が高い人はワンタッチ式、いざというときのために常にカバンに入れて携帯したい人は軽量で小型のタイプと、求める機能によって選んでみてください」(同)

 また、巷では「日傘は1年でUVカットの効果が落ちるので、毎年買い換えるべき」という話も聞くが、これは本当なのだろうか。

「効果が落ちてしまうのは本当ですが、1年で使い物にならなくなるほどの劣化は起きません。多くの方がお使いになる晴雨兼用日傘の場合、撥水加工がとれてきたり、濡れて骨にガタが出てきたりするのが3年くらいなので、購入から3年くらいで買い換えると、常に快適に使い続けられると思います」(同)

 今夏も猛暑日が続き、さらにコロナ禍とあってマスクの着用が欠かせない。熱中症で搬送されたという人のニュースも増えてきている。健康のためにも、今年こそ日傘デビューをしてみてはいかがだろうか。

(文=鶉野珠子/清談社)

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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