ダイエットのため、体づくりのため、“何”を“どれだけ”食べるか考慮することも多いですが、今特に注目されているのが“いつ”食べるか。実は同じ食事、栄養素を取り入れても、空腹・満腹、朝・夜など、体の状態や時間帯によって吸収率や栄養学的働きが変わります。
朝に食べたい食事とは
朝からモリモリ食べられる方もいれば、食欲なくコーヒー1杯だけという方もいますよね。ただ、体づくりの基礎ともなる体内リズムを整えるためには朝食はとても重要なもの。私たちは毎日24時間の時間を刻んでいますが、体は多少前後しています。体内時計が長期間ずれてしまうと、高血圧、高血糖が起こり、生活習慣病である糖尿病や高血圧症を引き起こしてしまいます。最近はやりの低炭水化物ダイエットも、体内時計を狂わせてしまうという報告があります。
その体内時計をリセットするには朝に“たんぱく質”と“糖質”をとること。ご飯に目玉焼き、トーストにハムエッグというセットも良いですし、食欲がない方はフルーツを入れたヨーグルトを食べるのもおすすめです。
また、体のサビを除去し、老化予防に働きかける“リコピン”は、朝の吸収率が高め。油と一緒にとると、さらに吸収率が上がります。そして、脳や網膜に働くDHAや血行促進に働くEPAなど、いわゆる健康によい油(オメガ3)も、朝に摂取したほうが夜よりも効率的に吸収されることもわかっています。
リコピンの多いトマトジュースに、オメガ3の多いアマニ油を1~2滴入れて飲むとアンチエイジングに働きかけます。
お昼に食べたい食事とは
サンドイッチ、おにぎりなど、忙しい方ほど炭水化物に偏りやすい昼食ですが、お昼は胃や膵臓などが活発に動いている時間帯。健康作りを意識している方こそ、お昼は多少、食べたいものを食べましょう。
特に神経機能を維持したり、貧血予防に働くビタミンB12は午後13時頃が一番吸収しやすくなります。かき、ハマグリ、しじみ、いわし、さんまなどの魚介類に多いので、カキフライ定食、ボンゴレスパゲティ、いわしの蒲焼などを選ぶのも良いですね。
また、夜はボリュームが多い食事になる方が多いのですが、お昼にしっかりと食物繊維の多い野菜・海藻類を食べておくと、夕飯の血糖値の急上昇が抑えられる働きが期待できます。
糖質や脂質が多いものも、できればお昼時間にとりたいもの。私たちの体には脂肪を溜め込んだり、新しい脂肪細胞を作り出すたんぱく質“B-MAL1(ビーマルワン)”が存在します。このB-MAL1は、14時頃一番少なく、夜中の2時にはお昼の20倍ほど多く体に存在します。脂っこい食事は夕飯にせず、14時前の昼食、甘い間食も14時前に食べると、脂肪になりにくいです。
夜に食べたい食事とは
夜は朝に比べ、腎臓が活発に働く時間。塩分の排泄機能が高まっているので、いつも減塩を意識して塩分があるものを我慢している方は、夜に干物や漬物、味噌汁などを食べると、ストレス緩和になります。
さらに骨粗鬆症予防にもなるカルシウム。夕方以降のほうが体への沈着率がよいため、夕飯にはカルシウム豊富なサバ缶や豆腐、乳製品などを取り入れるのがおすすめです。さらに、空腹時のほうがカルシウム吸収率が高いため、夕食後1〜2時間してから牛乳1杯、チーズ1かけを食べるという習慣も良いですね。
夜は20時以降は血糖値が上がりやすいので、夕飯が遅くなるときは事前におにぎりを食べ、20時以降はおかずのみ食べるという方法が良いです。
近年は便利なサプリメントがたくさん出ていますが、単一の栄養素をとるよりも、たくさんの食品から色々な調理法でとり入れるほうが認知症予防に良いとされています。
効率よく働く時間を考慮しながら美味しく楽しく食事をすると、毎日の食事が健康づくりに役立ちますね。