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北京五輪、中止リスク浮上…隣接の天津でオミクロン株感染者急増、事実上の都市封鎖

取材・文=相馬勝/ジャーナリスト
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中国・北京(「gettyimages」より)

 中国の首都・北京と隣接する天津市で8日、中国本土内で初めて感染経路が不明な新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株の本格的な「市中感染」の拡大が確認され、開催まで1カ月を切る北京冬季五輪に暗雲が漂い始めた。天津市当局は9日朝から、1400万人以上の全市民を対象にPCR検査を始めたほか、移動制限を行うなど、陝西省西安市に続いて、事実上の都市封鎖を実施している。

 英BBCによると、天津市では8日、津南区の学習塾に勤める女性(29)と同区の小学生女児(10)のオミクロン株への感染が判明。2人はこの2週間、市外に出ておらず、市中感染したとみられるが、感染の経路はわかっていない。周辺住民らのPCR検査の結果、同日夜までに計40人の感染が確認されたという。

 市政府によると、天津市でこれまでに確認された20件のケースのなかには、多数の生徒とその保護者が含まれている。2人から感染したとみられる18人のうち、8人は9~10歳の仙水区第七小学校の生徒で、4人は8~11歳の高荘子小学校の生徒、2人は12~13歳の新荘中等学校の生徒で、残りの4人は最初に感染が確認された10歳の女児の家族だった。

 天津は北京に最も近い大都市であり、北京への通勤圏内であることからオミクロン株が北京に拡大する可能性が高く、中国指導部も対策に神経質になっているようだ。北京冬季五輪の開幕まで1カ月を切るなか、天津市政府は「北京を守る堀としての役割を果たす」として、10日から市民の市外への移動制限を実施することを宣言している。

 米国で1日に診断される100万件の感染に比べれば少ないが、中国の「ゼロコロナ」政策のもと一部の都市は立ち入り禁止となって、市民は不便や苦痛を強いられている。インターネット上では「これからどうなるのか心配だ。西安のように都市封鎖され、食べ物がなくなるなど、生きていけるのかどうか」など市民からの不安の声が寄せられている。

 中国では天津以外にも、8日以降に15人以上の市中感染が確認されている河南省安陽市では新型コロナウイルスの感染者のうち2人からオミクロン株が検出されたほか、広州市でも患者が見つかっており、じわじわとオミクロン株への感染が拡大している。

 中国では来月1日から1年でも最も重要な祭日である春節(旧正月)の大型連休が始まり、昨年は約17億人が帰省などで移動したと伝えられており、春節を機にオミクロン株の爆発的な感染拡大が起こることも予想される。

(取材・文=相馬勝/ジャーナリスト)

●相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

 

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