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小谷寿美子「薬剤師が教える薬のホント」

アリナミンで下痢や吐き気、黒酢で中毒、なぜ?知らないと怖い薬の副作用の話

文=小谷寿美子/薬剤師
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サプリメント(「gettyimages」より)
「gettyimages」より

 薬は効果を期待して飲むものですが、効果とともに「副作用」があります。ビタミン剤だから副作用がないと思っていても、実際はあります。有名な「アリナミン」を疲労回復の目的で飲むと、軟便や下痢が続くことがあります。アリナミンは便秘の緩和に効果があり、腸の運動を活発にします。それが行き過ぎてしまうと軟便や下痢といった症状が現れるので、便秘ではない人が飲むと、「お腹が緩いな? 何か悪いものでも食べたかな?」「ストレスかな?」「調子は悪いけど、医者に行くまででもないし、このまま様子を見よう」といったことになります。

 この副作用は「添付文書」には書かれていますが、ちょっとお腹が緩くなる程度なら日常生活でもあることなので、「薬が原因?」と疑って添付文書を読むことはないと思います。添付文書は熟読したほうがよいですが、アリナミンの添付文書には次のように書かれています。

<効果・効能>

1.次の場合のビタミンB1の補給

 肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時

2.次の諸症状の緩和

 筋肉痛・関節痛(腰痛、肩こり、五十肩など)、神経痛、手足のしびれ、 便秘、眼精疲労

3.脚気

<相談すること>

2.服用後、次の症状があらわれることがあるので、このような症状の持続または増強が見られた場合には、服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師または登録販売者に相談すること

 軟便、下痢

 つまり、アリナミンは便秘薬として使うことがあり、その効果が出てしまうと軟便や下痢になるのです。

ビタミン剤だからと油断は禁物

 アリナミンを飲んだ後、なんとなくムカムカすることはありませんか? これも添付文書を読むと、「吐き気・嘔吐」は副作用だとわかります。主成分のフルスルチアミンは独特の臭いがあり、これが胃を刺激することで起こります。まずいものを食べて「おぇ~」となることがありますが、まさにその現象が起こるのです。錠剤の形をしていると、舌では臭いに気が付かないまま直接胃に入り、胃で薬が溶けて独特の臭いが胃を刺激してしまうのです。

 ビタミンCも胃を刺激します。ビタミンCは酸っぱい味がします。錠剤の場合は舌では「酸っぱいな」という程度しか感じず、胃に入った後に刺激に気が付きます。ビタミンCの吸収は、「能動輸送」といって腸がポンプで汲みあげるようにして体内に入ります。このポンプの稼働には限度があり、大量のビタミンCが一度に入ると吸収が間に合わなくなり、残されたビタミンCは直接その「酸」の力で胃に刺激を与えます。それによって、胸やけのような症状が起こります。

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