2017年のプロ野球は、福岡ソフトバンクホークスの圧倒的強さが目立ったように思います。前年、ペナントレースで敗れ、クライマックスシリーズにパシフィック・リーグの第2位球団として出場しましたが、ファイナルステージで北海道日本ハムファイターズに敗れ去り、惜しくも日本シリーズ出場を果たせなかったホークスとしては、必勝体制で臨んだシーズンでした。
筆者は、ホークスの現監督・工藤公康氏とは友人で、東京で開く「お食事会」にも来てくれたり、工藤家の近所で行きつけの中華料理店で一緒に食事をしたりと、親しくお付き合いをしていただいています。それもあって、筆者はホークスを応援しています。もともと、特定の球団のファンではなく、“プロ野球ファン”を自認しておりましたが、友人が監督となると、どうしたって応援したくなります。
工藤氏が監督に就任した年には、ヤフオクドームにも招いていただき、初めて監督室なるお部屋に通していただいたりもしました。普段は、2人で写真を撮ることもありませんが、この時ばかりはホークスの帽子をかぶり、2人で写真に納まった次第です。
さて、その工藤氏は48歳まで現役投手としてプロ野球の一線で投げ続け、実働29年・通算224勝は文句なく立派な数字ですが、それを上回る彼の功績は、移籍した各球団で「優勝請負人」と呼ばれたことだと思います。誰よりも「勝ち」にこだわり、そのための努力を惜しまない真摯な姿勢は、現役最後の年に象徴的に表れています。
10年オフに埼玉西武ライオンズから戦力外通告を受けた後、どの球団からも声がかからなかった工藤氏は、アメリカのメジャーリーグでプレーするという夢の実現のため、毎日毎日トレーニングを続けていたのです。そんなある日、ジムでのトレーニングを終えた工藤氏と一緒にランチをする機会がありました。ある中華料理店で何人かで鍋料理を食べていたのですが、そんな時でも自分が食べるものをきちんと選択し、決して食べ過ぎることはなく、午後からのトレーニングに役立つ食材だけを選んで食べていたのが印象に残っています。
どの球団とも契約が成立していないなか、メジャーリーグで投げるという目標を達成するためだけに、そこまでできるものなのか、この人はどこまで野球が好きなんだ、と感心しました。相当の覚悟と決意がなければできないことだと思います。結局、肩の調子が元に戻らず、翌年以降、現役を続行することをあきらめざるを得なくなりましたが、工藤氏のあの時の経験は、絶対に無駄ではなかったと周りで見守っていた人は全員思っています。
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野球選手としては、誰もが認める超一流選手だった工藤氏ですが、人間的にも本当に素晴らしく、多くの友人知人たちが尊敬してやまない方です。しかし、その工藤氏も西武在籍時代に、ひどく体を壊した時期がありました。それを立ち直らせたのは、奥様です。工藤氏に、以前のように活躍してもらうためには、まずは資本である体を治さなければならない。それには、なんといっても食事が大事ということで、その時に参考にしてくれたのが筆者の書いた本だったのです。それからずいぶんと時を経て、筆者と工藤夫妻が初めて会った時に、そのことを聞かせてくださいました。