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日本の大手企業で初、なぜDMG森精機はロシア完全撤退に踏み切ったのか?

文=Business Journal編集部
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DMG森精機のHPより

 工作機械大手のDMG森精機(プライム上場、森雅彦社長)がロシア事業から撤退した。ロシア西部ウリヤノフスクの組み立て工場を閉鎖し、従業員200人を解雇した。モスクワにある販売・サービス拠点の70人も解雇した。このほか30人の従業員が欧州の別の拠点に移ったという。日本の大手メーカーでロシアからの完全撤退が明らかになるのは、DMG森精機が初めてだ。

 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて3月、ロシアでの生産を休止した。日本や欧州からロシア向けの輸出もストップ。ウクライナやロシアの顧客に交換用部品を届けることができない状態だという。

 工作機械は兵器生産に転用される恐れがある。対ロシア経済制裁でも厳しく監視されているし、国際的にはココム(対共産圏輸出統制委員会)などで輸出管理の対象となった。ココムとは共産圏諸国に対する戦略物資の輸出規制で、1987年、東芝機械のココム違反事件が起きた。ソ連崩壊後、規制緩和が行われ、現在は半導体、コンピューター、新素材などの最先端分野に限られている。

「米国やEUなど各国政府の意向通りにしないといけない。一企業としてはルールに従うしかない」(森社長)との立場だ。DMG森精機の21年12月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益は前期比21%増の3960億円、純利益は7.7倍の134億円と、コロナ禍から経済が回復してきたことから復調した。ロシアでの売り上げは約80億円で全売り上げの2%程度だ。「ロシアからの撤退の影響は軽微」(DMG森精機)としている。

 DMG森精機は工作機械の世界的メーカー。前身の森精機が2016年、同業の独ギルデマイスター(DMG)と経営統合した。ロシアの工場建設は12年にDMGが開始。DMGと森精機が統合したDMG森精機が、工作機械工場を17年に稼働させた。

 顧客はロシアの航空機、機械、自動車分野の工場。主な提携先は航空機会社やエンジン製造会社。ロシア国内で販売する製品は6割強を現地生産で、残り4割弱を日本や欧州からの輸入で賄っている。ロシアの工場が戦争やそれに伴う稼働停止など損害を受けた場合、ドイツ政府による保険で最大140億円弱の損失補償が受けられるといい、保険金請求も検討している。

マクドナルドやルノーはロシアから完全撤退

 欧米の主要企業では米外食大手マクドナルドや仏自動車メーカー、ルノーがロシアからの撤退を決めている。日本企業ではユニクロを運営するファーストリテイリングがロシア事業を一時停止したほか、トヨタ自動車などロシアに工場を持つ自動車大手も操業を止めている。しかし、完全撤退に踏み切った大手日本企業はDMG森精機が最初である。

 マクドナルドは5月16日、ロシア事業を売却すると発表した。仏ルノーもロシアの自動車大手アフトワズの保有株を売却すると表明した。米エール大学の調査によると、ロシアからの事業撤退を決めた企業は310社を超えた。

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