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西山美紀「貯蓄スキルの高め方」

「夏のボーナス」使い道が値上げで変化…過去最高の順位に上がった金融商品とは?

文=西山美紀/マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー
一万円札(「gettyimages」より)
「gettyimages」より

 今年も夏のボーナスシーズンがやってきました。

 ボーナスが出る人、出ない人がいるかと思います。ボーナスが出る人でも、すでに使いきってしまった人から、何に使おうかと考え中の人まで、実にさまざまでしょう。

 円安や世界情勢の変化などにより、あらゆるものの値段が上がっています。電気代も上がっていますが、この夏の猛暑を乗り切るためにはエアコンが欠かせませんし、今まで以上に「お金をどのように使うか」という視点がシビアになっている方が大多数でしょう。

 では、今年の夏のボーナスの使い道として、みんなはどんなものに使う予定なのでしょうか。ここで、おもしろい調査を紹介します。

 共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティ マーケティングによる「Pontaリサーチ」(2022年5月27日~29日)にて実施した「第53回Ponta消費意識調査 2022年6月28日発表」から、みんなの夏のボーナスの使い道についてチェックしてみましょう。

<夏のボーナスの使い道(3つまで回答)>
1位…貯金・預金(34.8%)
2位…旅行(宿泊を伴うもの)(7.8%)★昨年の3位からアップ!
3位…食品(ふだん食べるもの)(6.4%)
4位…外食(食堂・レストラン、和・洋・中ほか専門店)(5.1%)
5位…財形貯蓄(3.6%)★昨年の6位からアップ!
6位…衣服(3.5%)
7位…ローンや借入の返済(2.9%)★昨年の8位からアップ!
8位…投資信託(2.8%)★昨年の10位からアップ!
9位…株式(2.5%)
10位…旅行(日帰り)(2.2%)
※「特にない」「支給されない・わからない」は除く。

 夏のボーナスの使い道として、9年連続の1位が「貯金・預金」でダントツです。その用途としては「老後の生活への備え」(57.4%)や「将来への消費への備え」(51.8%)で、それぞれここ3年で最も高い割合になっています。

 今まで以上に先行き不透明な時代で、「将来への備え」への意識がさらに高まっているようです。

 また、財形貯蓄が昨年の6位から今年は5位へと順位を上げていることも、「しっかり貯めなくては」という意識を感じられます。

 そして、「旅行(宿泊を伴うもの)」は一昨年までは2位でしたが、昨年はコロナ禍により3位に下がりました。ですが再び、コロナの状況が少々落ち着いてきたからか、今年は2位に返り咲いています。「そろそろゆっくり旅行したい」というマインドを感じられます。

ボーナスで投資信託を買う人が急増中

 そして今回、最も注目したいのが、ここ2年間で急上昇中の「投資信託」です。昨年10位にランクインして話題になりましたが、今年は過去最高の8位に上昇! 投資信託への関心がどんどん高まっていることがわかります。

 特に、つみたてNISAやiDeCoなど、積み立てをしながら、さらに税制優遇を受けられる仕組みに注目が集まっており、「そろそろ投資信託にトライしてみたいな……」と思っている人も多いのではないでしょうか。

 仮に100万円単位など、大きなお金を一括で投資する場合は「今の相場が高いのか、低いのか」と、投資する時期かどうかをじっくり見極める必要がありますが、投資信託の積み立てのように、同じ金額でコツコツ積み立てていき、5年、10年と長い目で見て投資していく場合は、今の相場はあまり気にする必要はありません。

 なぜなら、たとえ最初に買ったときが高い相場だったとして、その後相場が下がっていっても、その下がったときにもコツコツと積み立てていくことで、たくさんの“量”を買うことにつながります。そして、再び上がっていけば、割安で買った分、資産を増やしていけるからです。

 つみたてNISAやiDeCoで投資信託を積み立ててみたいと思っても、なかなか一歩が踏み出せないという方も、“ボーナス”をきっかけとして、少額から積み立てを始めてみてはいかがでしょうか。

 つみたてNISAなら月100円ほどの小さな金額から始められるので、まさに投資初心者の第一歩目として最適でしょう。

 iDeCoの場合は、最低金額が月5000円ですが、口座開設の際の手数料がかかることと、月々170円ほどの手数料もかかるため、“手数料負け”をしないように月1万円以上積み立てられるようになってから始めるのがよいと思います(さらに、iDeCoで積み立てたお金は原則60歳まで引き出しができないという点にもご注意ください)。

物価高騰下で「預貯金だけ」は少々危険

 今回、ボーナスで投資信託を買いたいと思っている人が増えていることがアンケート結果からわかりましたが、持っている資産が「預貯金だけ」という人は、ここ最近の物価高の影響をもろに受けてしまう可能性があるので要注意です。

 なぜなら、仮に年2%で物価が上がっていくと、今、現金として100万円を持っていれば、10年後には82万円くらい、20年後には67万円くらいの価値になってしまうからです。物価が上昇し続けると、手元の現金の価値が相対的に下がってしまうのです。

 そのため、投資信託などで世界中の株に幅広く分散させて投資をすることは、物価高への対抗策の一つになるでしょう。投資信託は元本保証ではないため、一時的には元本割れをする可能性はあります。でも、まさに下がったときこそ、ガッカリしてやめたりせず、そのまま積み立てを続けていくことで、その後に相場が上がったときに資産を増やしていくことができます。

 特に「日本の今後の先行きが不安だ……」と思っている人の資産が預貯金だけというのは、おかしな話です。もし日本が弱くなればなるほど、円安が進む可能性があり、海外の通貨から見ると日本円の資産は目減りしてしまうからです。

 もちろん、日本でも伸びている企業はたくさんありますし、海外でも今後経済発展が期待できるところはたくさんあります。世界中のに幅広く投資をしておくことで、円安への対抗策にもなりますし、経済成長の波に乗ることができるでしょう。

 何年、何十年もたってから「あのとき、資産運用をしておけばよかった……」と後悔することのないように、まずは少額からでも、投資信託の積み立てを体験してみてはいかがでしょうか。

西山美紀/マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー

西山美紀/マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー

出版社勤務後、2005年に独立し、FP資格を取得。単に貯蓄額を増やすのではなく、うるおいのある毎日のためのお金の使い方・貯め方について発信。Oggi、ミモレ、マリソル、LEE、日経DUALなどの女性誌・WEB等でマネーコラム連載、取材・執筆・監修等。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)、『はじめての積立投資・つみたてNISA・iDeCoもよくわかる!お金の増やし方』(主婦の友社)等。

Twitter:@writerN1225

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