「この口座は増やそう」という決意で口座をつくろう
銀行口座といえば、お金を引き出して使ったり、クレジットカードの利用額が引き落とされたりと、「使う口座」として活用している人も多いのでは?
でも、「使う口座」だけしか持っていないと、お金を貯めよう、貯めようと思っても、結局は全部使い切ってしまいがち。将来使うためのお金を入れておく「貯める口座」も必要です。
とはいえ、「貯める口座」というと、なんとなくつまらない響きで、つくるのが面倒だなと感じる人もいるでしょう。そこで今回は、ちょっと前向きになるような「増やす口座」をつくる提案です。
春は、新しいことを始めるのにぴったりなシーズン。ぜひ、一歩踏み出してみてください。
「増やす口座」ではどんなものを選べばいい?
では、「増やす口座」では、どんなものを選んだらよいのでしょうか。単にお金をプールしておくのではなく、少しずつでも増やすことを目指す商品には、どんなものがあるでしょうか。
今回提案するのは3つ。「ネット銀行の定期預金」「つみたてNISA」「個人向け国債」です。
このうち、ネット銀行の定期預金と個人向け国債は原則元本保証なので、「貯めたお金を絶対に減らしたくない」という人に向いています。また、5~10年以内に引き出す予定があるお金の準備にも向いています。
つみたてNISAは投資信託を積み立てていくもので、途中で元本割れの可能性もあります。もし「すぐに現金化したい」と思っても、そのタイミングでコロナショックのような大きな相場の下落があると、元本割れの状態で引き出さなくてはならないので注意が必要です。
そのため、長期間(5年以上や10年以上)引き出さずに、投資を続けられるお金の運用に向いています。
では、このおすすめ3つについて、詳しくお伝えしていきます。
増やす口座その1:ネット銀行の定期預金を選んでみる
今は超低金利なので、大手銀行の口座に預けているだけでは、お金はなかなか増えません。そこで、少しでも金利が高めになるネット銀行を選びましょう。
定期預金で預ける際には「元利自動継続」「元本自動継続」「自動解約」から選ぶことになります。雪だるま式に増やしていくには、満期になったときに、利息も含めた上で、再度定期預金に預け替えてくれる「元利自動継続」を選ぶのがおすすめです。
ネット銀行では、友人・家族の紹介キャンペーン(例:ソニー銀行では紹介する人が現金1500円、紹介を受ける人が現金2000円などのプレゼント)を行っているところもあるので、友人や家族に聞いてみて、紹介してもらうのもいいでしょう。
増やす口座その2:つみたてNISAを始めてみる
つみたてNISAとは、基本的に投資信託を積み立てていき、年間40万円まで、最長20年間まで、利益が出ても約20%の税金がかからないという仕組みです。
投資をしたいと思っても、どんな銘柄を選んだらよいのか、相場の上がり下がりをどう見極めればいいのか、初心者にはわからないものです。投資信託を積み立てていく場合は、さまざまな投資先に幅広く分散されるうえ、同じ金額で買っていくことで、相場が上がっているときは少ない量を、相場が下がっているときは多い量を自動的に買うことになるので、“高値づかみ”を防ぐことができるメリットがあります。
世界中の株に幅広く投資するタイプなら、世界経済の波に乗ることが期待できます。一度始めたらほったらかしでOK。投資超初心者さんでも、始めやすいと思います。
今後インフレの懸念がありますし、現金だけで持っておくよりも、世界中の株に幅広く投資しておくことで、資産のリスク分散にもつながります。
ネット証券なら月100円からでもスタートできるので、月100円、1000円、3000円くらいで始めてみてもよいでしょう。一度スタートしたら途中でやめることなく、5年、10年と長く続けていくことが大切です。
増やす口座その3:個人向け国債(変動10年)も選択肢
「増やしたいけど、減らしたくないお金」は、1番のネット銀行の定期預金に加えて、個人向け国債も選択肢です。
個人向け国債は、個人が1万円から、定期預金に近いような感覚で買える国債です。固定金利の3年満期と5年満期タイプもありますが、変動金利の10年満期タイプが、今の超低金利の状況ではよいでしょう。“変動”金利なので、今後金利が上がれば、一緒に個人向け国債の金利も上がっていってくれます。
個人向け国債は、1年たてば中途解約もできます。直近2回分相当の利子を差し引かれますが、もらった利子分をペナルティとして返す形になるため、中途解約による元本割れはありませんので、その点は安心です。
以上、「増やす口座」をつくる提案として、「ネット銀行の定期預金」「つみたてNISA」「個人向け国債(変動10年)」の3つをお伝えしました。
どれも未経験という方は、まずはネット銀行の定期預金から始めてみてはいかがでしょうか。少しずつ増えていく実感を持てれば、「増えたお金で何をしようかな」とわくわく感があり、今後の自分の選択肢が広がっていくと思います。
(文=西山美紀/マネーコラムニスト)