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篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

オーケストラの完全に調和した和音は神の領域?わざとタイミングをずらして演奏

文=篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師
オーケストラの完全に調和した和音は神の領域?
びわ湖大花火大会(「Getty Images」より)

 今年の夏は、多くの場所で花火大会が再開され、実際に会場に出かけて楽しまれた方も多いと思います。

 今年の全国の花火大会のなかで打ち上げ総数が一番多かったのは、7月に福井県で行われた「若狭たかはま漁火想」で、なんと30万発だそうです。2位の「ハウステンボス花火大会」が2万2000発ですから、いかに多くの花火が打ち上げられたことがわかります。観覧者は約1万8000人と発表されていますが、同花火大会は今年で約20年の歴史を終えるそうなので、最後に“日本一豪華な花火大会”としても盛り上がりました。

 ちなみに、ヨーロッパでも花火はありますが、夏のものではありません。もっとも盛んに打ち上げられるのは、真冬の年越しカウントダウンです。僕が10年くらい在住していたイギリスでは、一般家庭の庭からも大きな打ち上げ花火が上げられるので、年明けの瞬間は町中が花火であふれかえるのも懐かしい思い出です。

 また、冬の氷点下の夜に打ち上げられるフィンランドの花火には驚きました。凍った海面に反射して映っている美しい花火は、とても幻想的で忘れられない光景でしたが、とにかく寒くて仕方がありませんでした。

 ヨーロッパで夏に花火が打ち上げられないのには理由があります。緯度が高いヨーロッパではサマータイムもあり、イギリスなら21時でも空が明るく、北欧のフィンランドでは深夜まで青空が広がっているので、花火を上げるのに不向きなのです。そのため、夜が長い冬に花火を打ち上げることとなります。

 そんな花火ですが、離れた場所から見ていると、花火が開いてしばらくたってから“ドーン”と轟音が響きます。三尺玉が豪華に開いて感激し、少し遅れてズドーンと鳴り響くことにも花火大会の醍醐味に感じますが、その理由は、光の速度と音の速度の違いであることはご存じだと思います。

 光は1秒間で地球を7周半回る超高速なので、1キロや2キロ程度の距離ならば、光ると同時に私たちの目に到達すると言っても言い過ぎではありません。一方、音は1秒間に340mの速度なので、たとえば2キロ先の花火の光が私たちの目に届いてから、爆発音は約6秒後に聞こえることになります。とはいえ、花火は開花と爆発音が同時に聞こえる必要はないので、まったく問題はありません。

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23:30更新
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