PayPayがPayPayカード以外のクレカ登録廃止…他社カード登録を強制解除

文＝Business Journal編集部

【この記事のキーワード】PayPay, PayPayカード, PayPayあと払い

PayPayがPayPayカード以外のクレカ登録廃止…他社カード登録を強制解除の画像1 — PayPayのHPより

　PayPayは1日、「PayPayカード」「PayPayカードゴールド」以外のクレジットカードを利用した決済を終了すると発表。さらに、これら以外のクレカについては8月1日に登録を解除するとアナウンス。あまりに一方的な対応だとしてSNS上では「何で突然こんなことに」「改悪」「これは酷い」といった声があがっている。他社クレカでの決済を終了する理由について、運営元に聞いた。

　PayPayでは現在、決済用としてVISAとMastercardのクレカが登録でき、PayPayカードの契約者は「PayPayあと払い」の登録をすればクレカ同様の支払いが可能になる。ちなみにPayPayあと払いとは、事前のPayPay残高チャージ不要で支払いができるサービスで、利用翌月にPayPayカードに登録された銀行口座から支払い分が引き落とされる。登録と利用は無料で、利用料金に応じてPayPayポイントが1.0ポイント（基本付与分）が付与され、PayPay残高利用より0.5ポイント高く設定されている。

　発表によれば、8月1日以降、PayPayカードとPayPayカードゴールド以外のクレカが使用できなくなり、7月以降はクレカの新規登録を停止。PayPayカードの契約者に対してはPayPayあと払いに登録して利用するよう呼び掛ける一方、他社クレカについては8月1日に登録を解除するとしている。他社クレカを登録しているユーザーが引き続きPayPay決済を利用する場合には、「PayPayあと払い」に登録するか、銀行口座からPayPay残高にチャージする必要がある。

　他の主要なQRコード決済サービスのクレカ登録条件をみてみると、楽天ペイは楽天カード、Visa、Mastercard、JCB、American Expressが登録可能であり、楽天カードを利用すると合計1.5％の楽天ポイントの還元が付与される。d払いはdカード、VISA、Master、American Express、JCBが登録可能で、dカードを利用すると1.0％の還元を得られる。au PAYはau PAY カード、VISA、Master、American Express、JCBの登録が可能で、au PAY ゴールドカードからau PAY 残高にチャージすると、合計最大1.5％のPontaポイントの還元を得ることができる。どの決済アプリも、他社クレカより自社系クレカを利用するほうがお得になるよう差をつけている。

　今回、業界最大手であるPayPayが自社系以外のクレカを登録できなくしたことで、他社にも同様の動きが広まる可能性もあるが、ユーザーの他社クレカの登録を強制的に解除するというPayPayの方策をめぐっては、SNS上で次のようにさまざまな声も出ている。

＜ふざけてる＞

＜マジ？＞

＜suica＆任意のクレカ＆paypayの最強布陣が消滅＞

＜すまん楽天Payいくわ＞

＜もうaupay一択＞

QR決済サービス各社、利益回収フェーズに

　今回のPayPayの変更について金融業界関係者はいう。

「QR決済サービス各社は、契約する店舗から受け取る決済手数料を、各店舗がクレジットカード会社に支払うクレカの利用料より低く設定している。そうしないと店舗側にQR決済を導入する動機がはたらかないので当然だが、QR決済アプリの利用者がクレカを使って決済すると、その運営会社側がカード会社に利用料を支払わなければならず、せっかく店舗から徴収した決済手数料をカード会社に『持っていかれる』ことになる。アプリ利用者が銀行口座から残高をチャージしたり、後払いのかたちで一月分を翌月にまとめて口座から引き落とすかたちにしても、QR決済の運営会社は銀行に接続料を払う必要があるが、トータルでみるとクレカのカード会社へ払う利用料よりは低いとみられる。なので、店舗に課す決済手数料を極力抑えつつ、一方でコストを削減して利益を確保するために、クレカ利用をなくしたいというのが目的だろう。

　加えてPayPayは最近『PayPayあと払い』を猛プッシュしており、ユーザーをそちらへ極力集約していきたいという経営戦略もあるのだろう。

　各社が一斉にQR決済市場に参入して5年ほどが経過し、利用はかなり普及したが、運営会社は事業としてはどこも赤字で、それは最大手であるPayPayも同様。PayPayは当初無料としてきた店舗から徴収する決済手数料を2年前に有料化したが、そろそろ投下資金を回収して利益を出すフェーズに本格的に突入したということでは」

　PayPay株式会社に聞いた。

――「PayPayカード」「PayPayカードゴールド」以外のクレカを利用した決済を終了する理由は。

PayPay　社内で協議し、総合的に検討した結果です。PayPayカードとの連携を強化しており、「PayPayあと払い」をご利用いただければ、残高チャージ不要で、PayPayポイントもより多く付与され、PayPayで当月に利用した金額を翌月にまとめて支払えます。

――PayPayユーザーにおよぼす影響の内容、影響範囲の大きさは。

PayPay　ユーザーにはお手数をおかけしますが、「PayPayあと払い」に登録する、銀行口座からPayPay残高にチャージするなどの方法で、引き続きPayPay決済をご利用いただけるようご案内してまいります。

（文＝Business Journal編集部）