ビジネスジャーナル > 自動車ニュース > 空に向かって火を噴くマクラーレン
NEW
木下隆之「クルマ激辛定食」

マクラーレンの公道車・600LT、マフラーが空へ突き出ていることで車体が路面に吸い付く

文=木下隆之/レーシングドライバー
マクラーレンの公道車・600LT、マフラーが空へ突き出ていることで車体が路面に吸い付くの画像1「マクラーレン600LT」

 マクラーレンは、空に向かって火を噴く――。

 エキゾースト(マフラー)が空に向かって突き出ているなんて、まるでアメリカで盛んに行われているドラッグレース仕様か、一昔前の“チバラギ仕様”を彷彿とさせる。そんなスーパーカーが、「マクラーレン600LT」だ。

 とはいうものの、伊達や酔狂でこしらえたのではなく、理論的な裏付けがある。それもそのはずで、マクラーレンは、フォーミュラ1(F1)で数々の栄光を重ねてきた、有名コンストラクター(製造者)である。技術的にもっとも高度なF1コンストラクターがロードゴーイングカー(公道を走るクルマ)を開発したのだから、決して“ウケ狙いのおもちゃ”などではない。

 マクラーレンの本社はイギリスにある。同じくF1で覇を競うフェラーリを仮想敵車に据えているのは明らかだ。フェラーリが“跳ね馬”のサウンドでマニアを魅了するイタリアンエキゾチックであるのならば、マクラーレンは空に向かって咆哮で威嚇する英国紳士だ。

マクラーレンの公道車・600LT、マフラーが空へ突き出ていることで車体が路面に吸い付くの画像2「マクラーレン600LT」のエキゾースト

 ここで、マクラーレンに関して復習しておこう。マクラーレンは1963年に設立され、その3年後にはF1参戦を開始。1980〜90年代は、本田技研工業(ホンダ)と組むなどしてF1での黄金期を過ごした。アイルトン・セナやアラン・プロストを要したマルボロカラーが頭に浮かぶ方も多いことだろう。これまで8度のコンストラクターズタイトルを獲得、12回のドライバーズタイトルも手にしている。F1でもっとも成功したコンストラクターだといっていい。

 そんなマクラーレンがロードゴーイングカー市場に進出したのは93年。デビューモデルの名は「マクラーレンF1」。モータースポーツ最高峰F1コンストラクターの自負をのぞかせるものだった。

 それはフェラーリやランボルギーニといった超絶スーパーカーに対抗する性能を秘めていた。しかも、開発デザイナーは奇才・ゴードン・マレー氏。彼の発想は突き抜けていた。マクラーレンF1はなんと、3シーターミッドシップだったのだ。。ドライバーを中央に座らせ、左右に2名のパッセンジャーを乗せるという手法を採用する発想が恐ろしい。

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

マクラーレンの公道車・600LT、マフラーが空へ突き出ていることで車体が路面に吸い付くのページです。ビジネスジャーナルは、自動車、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!