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パナソニック低迷の本当の理由
岩瀬達哉氏の『ドキュメント パナソニック人事抗争史』(講談社)を読んで痛感するのは、「経営の神様と崇められた松下幸之助ですら、経営者としては合格点をつけられない」ということだ。その理由は「後継者をつくることができなかった」という点に尽きる。
娘婿の松下正治氏が幸之助の後を継ぐが、「頼りない社長」との烙印を押され、16年務めた後に山下俊彦氏にバトンタッチする。山下氏は「世襲反対」を唱え、正治氏の長男・松下正幸氏の社長就任を阻んだ。その後、谷井昭雄氏、森下洋一氏、「創業者の経営理念以外は何を変えてもかまわない」と「破壊と創造」を唱えた中村邦夫氏、大坪文雄氏、津賀一宏氏と続くが、いずれも幸之助時代の輝きはない。
パナソニック低迷の原因は、主に三つある。一つは、松下幸之助が後継者選びで世襲にこだわったことだ。個人の感情としては理解できるが、経営の王道ではない。二つめは、世襲による後継者の人選を間違ったことだ。そして最後は、そもそも「後継者養成計画」が存在せず、血縁や政治的な関係による人選が横行した点である。
これら三つの問題は、すべて「人」に起因している。「戦略やビジネスモデルの失敗が、パナソニック低迷の原因だ」という人もいるが、そもそも戦略やビジネスモデルは人が考え、人が作るものだ。まさに「魚は頭から腐る」のである。現職の津賀社長が「腐らない頭」であることを期待したい。
(文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長)
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