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その後、具体的な経営再建方針を示すと同時に、目標と実績のギャップから、再建を妨げている問題を顕在化させる仕組みと、問題が起きたら管理職が責任を持って解決し、再発を防ぐ仕組みを導入した。その一方で、染色加工メーカーとして蓄積した技術を水平展開し、新製品開発や新事業創出につなげていった。
そうした「仕事の仕組みの変革」の中から、現在の主力事業の一つとなっている、デジタル染色システム・ビスコテックスが開発され、オーダーメード婦人服の製造小売事業が誕生した。
経営再建の柱となり、現在は売上高の54.7%(15年3月期)を占める自動車内装材は、国内シェア約40%、世界シェア約15%の事業に育っている。
まず「目標ありき」の計画経営ではなく、「問題点を顕在化させる」ことを重視し、さらに既存技術の水平展開で新事業を育てる「逆転の発想の経営」が、同社再建の要因となった。
それにより、社員が仕事に自信を持ち、ユーザーと直接接触する製造小売事業モデルがユーザーを意識したモノ作りを促し、社員の意識は完全に変わった。
「ファッション流通革命」への挑戦
その後、同社はビスコテックスをオーダーメード婦人服のオンデマンド販売システムに進化させた。これにより、大量生産から1着ずつの個別生産が可能になった。同社は、消費者が買いたい時に、自分だけのオリジナル婦人服が買える「ファッション流通革命」を起こそうとしている。狙いは、需要創出だ。
それに向けた、オリジナル婦人服専門店「ビスコテックス・メーク・ユア・ブランド」1号店を、4月1日に福井市の本社で開業した。今後は、実需ベースでシステムの改善を続け、1~2年で全国の有名百貨店を中心にチェーン展開する計画だ。
同社にとって、経営不振は「経営者の怠慢」、成長は「需要創出」を指すようだ。
(文=福井晋/フリーライター)
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