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コマツの“最強コンピュータ”はなぜ狂った?予測不能な新興国で需要読み違え、本社で悲鳴

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 コマツが「伝統市場」と位置付けている日米欧の先進国市場と、「戦略市場」と位置付けている中国をはじめとする新興国市場は、事業環境がまるで異なる。同社が古くから事業展開を行ってきた先進国では、すでに営業ネットワークが張り巡らされている。このため、マクロの経済データはもとより、顧客個別の経営状況など、生の市場データもつかみやすい。

 一方、同社売上高の過半数を占める新興国では、営業ネットワークが未整備な上、政府発表の経済統計ですら水増しがあるなど、マクロのデータ自体の信憑性が低い。加えて、「販売代理店の販売計画は『やってみなければわからない』というずさんさで、マージン稼ぎの水増し報告も多い。顧客の購入計画も、猫の目のようにコロコロ変わります。そもそも、何が起きるかわからない新興国で、1年先の需要予測をするのは不可能に近い」(建設機械業界関係者)といわれている。

 つまり、不確実な要素が多すぎるため、コンピュータでは需要予測が困難な事業環境といえる。インドネシア市場の需要予測が狂ったのは、インドネシア個別の事情によるものではなかったのだ。

 前出の建設機械業界関係者は、自らの営業経験から、「新興国の需要予測で頼りになるのは、本社の分析ではなく現場の皮膚感覚です」と断言する。

 ビッグデータを活用したコンピュータ需要予測に頼る経営から、人間が需要変化に即応できる経営へ。今回の2期連続減益予想は、コマツにそんな教訓をもたらしたようだ。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

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