新たなフード事業としては、14年3月期にスタートした郊外型大型ベーカリーショップ「ベーカリーファクトリー」に加え、15年3月期はアイスクリーム専門店「アイス・デ・ライオン」、シフォンケーキ専門店「ザ・シフォン&スプーン」をオープンした。
ファストフード業界を牽引
ミスドは1970年、ダスキン創業者の鈴木清一氏が渡米して、ミスタードーナツ・オブ・アメリカと契約したことに始まる。翌年、ダイエー箕面店(大阪府箕面市)の敷地内に1号店がオープンした。同時期にケンタッキーフライドチキン、マクドナルドも日本に上陸。ファストフードチェーンの御三家と呼ばれた。その後、若者は喫茶店からファストフード店に流れた。
そして時代は移り、コンビニがファストフードチェーンの前に立ちふさがった。レジ横のカウンターには安価なフライドチキンやいれたてコーヒーが並ぶ。そして今度はドーナツだ。
セブンは今年8月までに、ドーナツを販売する店舗を全国1万7000店の大半に広げる。ローソンも8月までに8000店舗に急拡大する。ファミリーマートも全12種類というバリエーションの豊富さを売り物にして参入してきた。
ミスドの3月末時点の店舗数は1366店とドーナツチェーンでは断トツだが、店舗数が5万店を超えたコンビニは数の上でも大きな脅威だ。コンビニは全国の商店街やロードサイドの至るところにある。
ミスドはマクドナルドと同じ戦略をとった。マクドナルドはいわゆる「100円マック」「100円コーヒー」で客を呼び込み、高額の季節限定商品を売り込む手法をとった。ミスドも「100円セール」を集客の目玉にして、「クロワッサンドーナツ」などの高価格帯商品のついで買いを誘った。
マクドナルドがコンビニに敗れたのは昼食市場だった。客がコンビニの100円コーヒーとサンドイッチのセットメニューに流れるなどして、昨年以降立て続けに発覚した異物混入問題が起きる以前から、既存店売り上げが前年を下回っていた。
ミスドも昨年まで6年間、既存店の前年割れが続いた。そうした状況下で、コンビニがドーナツ戦争を仕掛けてきた。「ミスドはマックの二の舞いになる公算が高い。このままではコンビニ・ドーナツに駆逐され、存亡の危機に追い込まれる」(外食業界筋)との見方も多い中、果たしてミスドはどのような手を打ってくるのか、はたまたこのままコンビニに市場を侵食されてしまうのか。残された時間は少ない。
(文=編集部)