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買収資金は手元資金を中心に一部、融資などで外部調達し、新株発行などエクイティファイナンスは予定しない。同アナリストは「東京海上の堅実さと余裕を感じさせるディール。好業績に浮かれたわけでなく従来通りの買収路線である上に、財務的に大きな負担がかかる策でもない」と指摘する。
東京海上HDは国内損保事業単体の規模では昨年、損保ジャパン日本興亜(SOMPOホールディングス)に抜かれ、長年堅持してきた首位の座を明け渡した。ただ、それでもなおグループ全体での収益や利益率では他の損保を寄せ付けない。
「生命保険業界では、日本生命保険が売り上げに当たる保険料等収入で、戦後初めて第一生命保険に逆転された。日生はこれまで消極的だった海外M&A情報を貪るように集めており、なりふり構わず再逆転を目指している。ストックビジネスの生保では契約件数や資産規模が重要で、それらは依然として他生保を圧倒しているが、泰然自若さが消えている」(前出のアナリスト)
対照的に東京海上HDはMS&ADホールディングスやSOMPOホールディングスに猛追されているが、自社の経営戦略に自信があるからか、余裕たっぷりな印象。社内では当然、国内損保事業の首位奪取への大号令がかかっているものの、表向きは涼しい顔をしているのは「ガリバー」の自負があるからだろう。今回の巨額買収では、貫いてきた経営戦略の基盤強化と同時に、「業界の雄」としての自信を深めたのは間違いなさそうだ。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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