インターネット通販やモバイル通販の拡大で、先発の通販会社は、さまざまな媒体を組み合わせるクロスメディア戦略をとっている。カタログ通販の元祖、千趣会(大阪市)は、カタログとネットショップ、さらには店舗で服飾品や家具、食品を販売している。テレビショッピングの大手ジャパネットたかた(長崎県佐世保市)は、テレビ、ネット、折り込みチラシのクロスメディア化を進めている。千趣会やジャパネットたかたは専門店型で、千趣会は服飾、ジャパネットたかたは家電の量販店といえる。
楽天のようなショッピングモール型を運営するのはヤフー。Yahoo!ショッピングとオークションを合算した12年3月期の取扱高は9900億円と1兆円に王手をかけた。
ヤフーは今年5月、オフィス用品通販の先駆けである東証1部上場のアスクル(東京・江東)を買収した。アスクルが実施した第三者割当増資をヤフーが引き受け、329億9900万円を出資。42.9%の株式を保有する筆頭株主となった。
アスクルはオフィス家具の株式会社プラスの通販事業が分社化したもので、オフィス用品を中心にBtoB(事業者向け)の通販事業を手掛けてきた。10年からはBtoC(消費者向け)の通販事業子会社、アスマルを展開している。ヤフーは、BtoB通販トップのアスクルを買収したことにより「2年以内にeコマース(電子商取引)における圧倒的なナンバーワンになることを目指す」としている。
ヤフーとアスクルは今年10月、日用品通販サイト「LOHACO」(ロハコ)をオープン。食料品やキッチン用品、ヘビー用品など約7万アイテムをラインアップした。
リクルートは、楽天やヤフーのようなショッピングモール型のビシネスモデルでネット通販事業に参入する。通販の王者アマゾンや楽天、ヤフー、リクルートのショッピングモール型と、ジャパネットたかた、千趣会のような専門通販の間で熾烈な競争が展開されることになる。
楽天は2010年に千葉県市川市に物流拠点を開設したが、13年秋をめどに新たな物流拠点を設ける。楽天市場に出店する店舗の商品在庫の入出荷、保管、梱包などを代行する。アマゾンジャパンは全国10カ所の物流拠点を活用して自社で仕入れた商品の配送を無料化した。
株式上場が視野に入ってきたリクルートHDにとって、グローバル化とともに国内事業の足腰をどうやって強くするかが緊急の課題となる。4月に就任した峰岸真澄社長の成長戦略の一つが「ポンパレモール」なのである。