グループ会社数は、新規買収を凍結したため19年3月期時点で86社と横這い。瀬戸社長は「企業買収を早期に再開したい意向」ともいわれているが、果たして社外取締役がゴーサインを出すのか。社外取締役の見識が試される。
手当たり次第に“ゾンビ企業”を買収する暴走経営は封印せよというのが、取引銀行のスタンスだ。「みずほ銀行は、関連会社の一段の整理を要求している」(有力金融筋)という。
「プロ経営者」の松本氏は省エネ冷却素材販売会社を起業
「プロ経営者」の松本晃氏は、この日の株主総会で退任した。米ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長、カルビー会長兼CEOを経て18年6月、瀬戸社長に三顧の礼をもって迎えられ、RIZAPグループ最高執行責任者(COO)に就いた。
1年でRIZAPを去ることになった松本氏は最後の株主総会で、こうあいさつした。
「瀬戸さんとは、議論は尽くした。対立も確かにあったが、実に健全な対立だった。人間が憎み合う対立は一度もなかった。今年1年でV字回復するとは思わない。もうちょっと辛抱だが、黒字化はする」
プロ経営者が辞任に際して「今年1年でV字回復するとは思わない。もうちょっと辛抱だが、黒字化はする」と言い切ったのは、瀬戸社長の暴走を戒めるためだったのか。
瀬戸氏は辞める気などないだろう。そのため、どんな手を使ってでも20年3月期の黒字化は達成するはずだ。だが、無理をすればするほど、経営の歪みが大きくなる。
株主からは、松本氏に対し社外取締役への就任を求める声が出たという。その松本氏は、新しいビジネスにチャレンジする。6月11日、建材に使用すれば、屋内の温度を摂氏10度程度下げることができる冷却効果を持つフィルム素材を販売するラディクールジャパンを設立し、会長兼CEOに就いた。
松本氏は日本を代表するプロ経営者だが、起業は意外にも初めてだ。記者会見で「いい年になったが、新しいものが大好きなのは変わらない。生きている限りはチャレンジしたい」と語った。
(文=編集部)