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オリンパスのケースは規模こそ会社存立を危うくするほどのものではなかったが、手口の悪質さが際立っていたため刑事事件化したといえる。純資産の水増し額は多い年に1200億円余りで、これは公表していた純資産額の3割ほどを占める数字。他方で手口は巧妙かつ複雑、そして長期にわたるものだった。1990年代初頭に財テクで生じた含み損を海外のペーパーカンパニーに飛ばしていたが、そのネットワークは年々複雑化、手伝ってもらっていた証券関係者には多額の報酬を与え、大型の企業買収で生じるのれん代を逆手にとって飛ばしていた含み損の解消を図るという、過去に例を見ないものだった。
では次稿は、トップ以下の組織的関与、そしてこの問題の本質について考えていきたい。
(文=高橋篤史/ジャーナリスト)
※次稿へ続く
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