一方で、沖縄の雄といえばファミマだ。沖縄ファミリーマートは1987年、沖縄最大の百貨店、リウボウと提携して設立された。出資比率はリウボウ51%、ファミマ49%。最初からリウボウの子会社として地元に根付いていったといっていいだろう。
92年には県内売上高100位にランキングされ、93年には50店舗を達成、設立10周年の97年には100店舗、2007年には200店舗を達成。このほか、出店が難しいといわれていた石垣島、宮古島などの離島にも出店している。
「石垣島と宮古島には工場もある」(ファミマ関係者)
商品開発の面では、沖縄に馴染みのある料理だけでなく、店内調理を活用した焼きたてパンや焼きたてピザ、衣が厚いフリッターのような「上間てんぷら」などの大ヒット商品を次々に開発してきた。地元の流通業界の力もあり、ファミマは沖縄で325店舗を構えている。
地方密着型の商品開発に自信を持つセブン
こうしたなかで、セブンは18年7月に浦添市に弁当や総菜の工場、11月にうるま市にスイーツの工場の建設に着手した。弁当・総菜工場の運営はこれまでセブンの総菜をつくってきた埼玉県に本社を置く武蔵野グループが担い、スイーツ工場は東京・千代田区に本社のあるフリジポートが運営する。さらに、西原町のパンメーカー、メルヘンにパンの製造を委託しているという。
「1万人のお客様にセブンに求める味をアンケート調査すると、本土にあるセブン-イレブンの味を求める消費者が65%もいたのです。どんな商品を食べたいかを聞いてみたところ、おにぎり、スイーツ、パン、弁当が上位に挙がっている。そんなお客様の声を踏まえ、出店の際の品ぞろえを進めてきました」(久鍋社長)
さらに、セブンはこれまで地方のエリアごとに地域に密着した商品を開発し、急成長を遂げてきた歴史がある。そのため、地方密着商品の開発には大きな自信をのぞかせる。
今回も7月11日のオープンに合わせて全国で「沖縄フェア」を開催し、沖縄に馴染みのある38品目の商品を販売。それに加え、沖縄では限定商品15品目(計53品目)の販売を開始した。
果たして、最後のピースを埋めたセブンは名実ともに日本全土にまたがるコンビニとなることができるのか。熱い戦いが始まる。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)