上司からの電話には何よりも優先して出る。メールの返事は、最速対応をする。聞かれたことに対してすぐにはわからなければ、「どうすればいいんだろう?」と迷う前に、「今わからないので、ほかの人に聞いてわかり次第、遅くとも●日(時間)以内には回答できます」と手短でもいいので返事を数分以内ですることです。もしも何かちょっとしたことでもミスしてしまった場合には、すぐに上司の座席まで飛んでいって「申し訳ございません」とお詫びします。
お酒の席に行った場合は、仕事について何か意見具申などはしないほうが良いでしょう。相手も酔っ払っているので、どこにどういう地雷があるかわからなくなっています。とにかく愛想は良くしておき、楽しく飲む席を演出することに徹しておきましょう。また、どんな場であっても、他の部門の批判や社内の課題については、聞かれない限り答えないほうが無難でしょう。前任者の批判も同様です。
エース以外の人材については、能力、経験やアイディアへの期待よりも、やる気や協力度(上司にとって、自分が考えたことを素直に実行してくれるかどうか)、前向きな姿勢を持っているかどうかが評価の分かれ目になります。
心の平静を保つ方法
以上、前回と今回にわたって、落下傘上司への対処法を考えてきました。
それでも、上司が度を越えた意地悪な人であったり、あるいは自分と相性が悪かったりしたときには悩むところです。特にその上司が親会社や株主、有力債権者などからきた人である場合、自分個人の力ではどうしようもありません。そうした状況では、どうすれば心の平静を保つことができるのでしょうか。
残念ながら世の中は不条理で、「最後に正義は勝つ」とはなかなかなりません。それでも「勝つ可能性はある」くらいに信じること。あるいは、人選についてはどんな事情があるかはわからないものの、その上司の本籍である親会社や債権者から見て、自分の会社は一定レベルの重要性はあると見込まれていることに安心を感じること。また、あまりよい方法ではありませんが、「会社員人生においては上司のほうが『勝ち』かもしれないが、自分は会社員人生が終わった後も●●があるから、あの上司よりも満足度が高い人生を歩めるはずだ」と思って、自分の中で感情を消化するしかありません。
落下傘上司への対処に悩んでいる方にとって、前回と今回の中で何かひとつでもヒントになる内容があれば幸いです。
(文=中沢光昭/経営コンサルタント)