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東芝、外資系ファンドによる経営支配…「株主への利益還元」至上主義に

文=編集部

 手元資金の4分の3近くをファンド側に還元せよと迫ったわけだ。だが、1兆1000億円も吸い上げられたら、なんのために東芝メモリ(10月1日付でキオクシアに社名を変更)を売却したのかわからなくなる。さすがに東芝もこの要求は飲めない。構造改革費用などを考慮し、自己株買いの総額を7000億円に決めたと理解を求めた。手元資金が増えた分の半分近くをファンド側に渡しますから、それで手打ちにしましょうということだ。

 18年11月9日から1年間で2億6000万株、7000億円を上限に自社株を購入する。一度、債務超過に陥った企業が、ここまで巨額の自社株買いを行った例はない。自社株買いは、19年6月末までの累計で1億4041万株、5044億円(上限の72%)となった。

社外取締役に投資のプロを送り込む

 要求の2つ目は、役員の派遣である。

 12人の取締役のうち、社外取締役は7人から10人に増えた。このうち4人は外国人だ。5人いた社内の取締役は車谷氏と綱川智社長兼COO(最高執行責任者)の2人だけ。7人いた社外取締役は古田佑紀(元最高裁判事)、小林喜光(三菱ケミカルホールディングス会長)、太田順司(日本証券業協会副会長)の3氏が留任し、7人は新しいメンバーとなった。小林伸行(公認会計士)、山内卓(元三井物産副社長)、藤森義明(元LIXILグループCEO)、ポール・ブロフ(香港拠点の商社会長)、ワイズマン広田綾子(米運用会社幹部)、ジェリー・ブラック(イオン顧問)、レイモンド・ゼイジ(元投資ファンド幹部)の7氏である。

 これまでの取締役会では「自分たちの要求に十分に応えることができない」と、物言う株主が判断したということだ。

 総会では株主から、投資会社出身者が複数いる社外取締役の人選について「ものづくりの経験や能力があるのか」といった厳しい声が上がった。経営が混乱するLIXILグループの社長を務めた藤森氏の選任に関し「経営能力を疑問視する」意見も出た。

 だが、こういった声は、99%を超える賛成票の嵐の前に掻き消された。

 東芝は、物言う株主への利益の還元を経営の最優先課題に置く。7000億円の自社株買いが終了したら、1兆1000億円の自社株買いの実現に向け、彼らは残る4000億円の自社株買いを要求するだろう。

 名門・東芝は物言う株主にとって“美味しい獲物”となった。自業自得とはいえ、彼らが利益を食い散らして去った後、東芝にはペンペン草も生えないのかもしれない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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