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ヤフー、“強者の横暴”…提携相手アスクルの事業乗っ取り画策か、反対する相手社長の追放狙う

文=編集部
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 ヤフーの「岩田社長再任反対の表明」を受けて、アスクルの社外取締役の多くは烈火のごとく怒った。指名・報酬委員会、取締役会の決定の手続きを踏んだ会社提案に反対なら、株主提案で岩田社長の退任を要求して自ら社長候補者を送り込むのが筋だが、ヤフーはそうしなかった。

 ヤフーはBtoB(法人向け)カンパニー最高執行責任者(COO)の吉田氏か、BtoC(消費者向け)のCOOである吉岡氏のいずれかが社長になるべきだとした。

「ヤフーに楯突く岩田社長だけ外せば、ほかの役員はヤフーの意のままになると高を括っていたのではないか」(関係者)

 指名・報酬委員会や取締役会で機関決定する上場会社のガバナンス(企業統治)を、まったく無視したやり方に社外取締役たちが猛反発。「無責任極まりない」と非難した。

孫正義氏の思惑を忖度か

 ヤフーとアスクルは2012年4月に資本・業務提携し、ロハコ事業を開始した。ヤフーの宮坂学CEO(最高経営責任者、当時)とアスクルの関係は良好だった。だが、その関係に亀裂が生じた。

「ヤフーの社長が(提携した当時の)宮坂学氏から川邊氏に交代したことや、親会社が(ソフトバンクグループから通信子会社ソフトバンクに)交代したことがあるかと思う」(岩田社長)

 18年6月、馬が合った宮坂氏に代わり、川邊氏がヤフーの社長に就いた。さらに今年6月、ヤフーがソフトバンクの子会社となり、経営体制が大きく変わった。ヤフーはソフトバンクと共同で設立したスマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」を中心に今後、ECを強化する予定。ヤフーに対するソフトバンクの影響力が強まっている。

 ヤフーは今年10月、持株会社に移行し、社名をZホールディングスに変更する。傘下にヤフーやアスクルをぶら下げる。成長力のあるロハコを取り込むことで、ヤフーの株価の上昇を狙った、というアナリストの指摘もある。ソフトバンクグループの総帥・孫正義氏には、出資した中国のネット通販最大手、アリババ集団の成功体験がある。ペイペイを第2のアリババにしたいとの思惑がある。

ヤフーの最後の手はTOBでアスクルを完全子会社化か

 アスクルによると両社の提携契約には、重大な契約違反があった場合、ヤフーが持つアスクル株の買い戻しを請求できる条項があるという。買い戻し請求権を行使するかどうかは、8月2日の株主総会前に判断すると、岩田社長は述べた。買い取る資金は投資ファンドや新たなパートナーとなる企業から得ることを想定しているという。

 8月2日の株主総会で岩田氏の再任は否決される見込みだ。だが、ヤフーに対して持ち株の買い戻し請求権の行使を取締役会で決定すれば、新経営陣が、その交渉を担うことになる。

 法廷闘争になることは必至の情勢であり、裁判は長期化する。ヤフーとしては、こうした事態は絶対に避けたい。

 ヤフーの選択肢は限られる。アスクル株のTOB(株式公開買い付け)を実施して、完全子会社とするしか、道はないのではないかとみる向きが多い。

 通信子会社のソフトバンク(SB)のIPO(新規株式公開)でソフトバンクグループ(SBG)とSBは“親子上場”と非難された。アスクルはSBの子会社、SBGの孫会社にあたり、孫上場の関係だ。TOBを実施してアスクルを完全子会社とし、上場廃止にすれば、この歪つな資本関係は解消できる。
(文=編集部)

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