街中にあふれる駐車場「タイムズ」に驚愕の秘密?稼働率47~48%維持の高度な仕組み
街を歩いていると、そこかしこに黄色い背景に「Times24h」という黒字の看板があることに気づく。パーク24が運営している時間貸し駐車場だ。月極契約が常識だった業界に「10分単位の時間貸し」という新たな発想を持ち込んだものだ。
1991年にスタートした同事業は、「失われた10年」といわれた時代や2008年のリーマン・ショックさえも乗り越え、右肩上がりの成長を続けている。今や、全国におよそ1万4800カ所もの直営駐車場を展開している(15年5月末時点)。もちろん業界トップだ。新たな駐車場開拓は、340人の営業マンたちが日々足を使って土地を探し、地主と交渉して行っている。
その一見地味なビジネスの裏に、TONICと呼ぶパーク24独自の情報収集・分析システムが活躍している。全国の駐車場をネットワークで結んでリアルタイムでデータを収集して経営指標を把握、その指標を経営に生かしている。
稼働率をどう定義するか?
パーク24の駐車場事業は04年1月、創業者の西川清氏から39歳の若さで二代目社長に就任した西川光一氏に引き継がれた。TONICを提案し、開発の陣頭指揮をとったのが光一氏だ。社長に就任した当時およそ4500カ所あった駐車場を、就任後11年間で新たに1万カ所以上も増やしたことになる。TONICによって収集したデータを上手に活用したことが成長の原動力だ。
時間貸し駐車場事業で鍵となるのが、各駐車場の稼働率データである。新たな駐車場を開拓するにあたっても、駐車場の料金設定においても、この稼働率を基に経営判断を行っていくことになる。
さて、ここで問題となるのが、稼働率の定義をどうするかだ。すぐに思いつくのは、自動車が一日のうち何時間駐車されていたか、駐車場の占有率を計算するものだろう。分母を24時間とし、実際に駐車されている時間を分子に取る。その数字をパーキングロットごとに把握し、次に全パーキングロットの平均値を駐車場全体の稼働率として定義するというものだ。
しかし、パーク24が用いている稼働率は少し違っている。単位が時間ではなく、金額なのだ。つまり、稼働率を次のように定義している。
・稼働率=実際の売上高÷すべて埋まった場合の売上高
稼働率の定義に料金が組み込まれているところがミソである。これは、次の目標値とも関係してくる。