なんといっても、13年3月期まで2期続いた7000億円以上の最終赤字から、15年3月期は1800億円に迫ろうかという黒字実現である。また、有利子負債が1兆円近くあった状態から実質無借金経営に転換。津賀氏は素晴らしい経営者といえよう。このままパナソニックの中興の祖になってほしいと期待する。
15年3月期の決算発表、あるいは3月の事業方針発表などで津賀社長は、「構造改革は完遂した」と宣言した。さらに「15年度はついに売り上げを伸ばす時期、成長の年であると位置づける」として、4月からの15年度を津賀改革の第2ステージとする意欲を示してきた。
6事業をテコ入れするのか、捨てるのか
第2ステージの入り口で津賀社長は利益率の低い6事業のテコ入れを図っている。6事業とは、エアコン・照明・住設建材・車載機器・2次電池・パナホームで、「営業利益率が5%に達していない」事業だという。それぞれが売上高3000億円以上と規模も大きい。今回発表された照明2工場の閉鎖、製造集約もこの動きの一環だ。
パナソニックのような大企業には、事業の数が二桁に上ることは珍しくない。このような事業構造の会社で、経営者はどのように事業選別をしていけばいいのだろうか。
PPMという手法がある。プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略で、大手コンサルティング会社ボストン コンサルティング グループが開発したのでBCGマトリックスとも呼ばれる。PPMは1980年代からの古典的経営技法なので「今さら」と言う向きもあるだろう。
パナソニックに対しては、PPMの縦軸と横軸に新基準を持ってくると応用できる。横軸には営業利益率を持ってくる。津賀氏は営業利益率5%をメドに事業の仕分け、テコ入れを考えているので、横軸の中間点には5%より低い数値、例えば3.5%を置く。数値基準は元祖PPMでも主観で定めるのでこれでいい。中間値より左が「高い」、右が「低い」とする。
縦軸には3年間の年商の伸び(事業ごと)とする。パナソニックの全体年商は3年間で伸びていないので、中間値としては恣意的なものでよい。たとえば10%を境とする。それより上が「高い」、下が「低い」だ。