日本の探偵業者数は、11年末で前年比178件増の5350業者(警察庁発表)。ただ、新規届出数は、過去3年で、1074年、933件、803件と減少傾向にある。
かなり以前から、探偵業界は企業の調査費削減などを受けて、苦境を強いられており、「浮気調査で食いぶちを稼いでいる業者が相当います」(業界関係者)というのが現状だ。そこに相次ぐ不祥事で信用が低下しつつあるとなれば、文字通り死活問題に直面する。「警察からの締め付けが厳しくなった」(同)という声も上がる中で、探偵業界はどう対処していくのだろうか?
●政治連盟発足へ
打開策のひとつとして、8月、業界有志が「全日本調査業政治連盟」を立ち上げた。連盟は創設の背景を次のように説明している。
「現在、調査業(探偵・興信所)を取り巻く環境は大変に厳しい状況にあります」
「11年10月に発生した、愛知県警関係者による違法な個人情報の収集事件により、調査業者が『住民票・戸籍』『消費者金融情報』『携帯電話番号』『職歴情報』『車両番号情報』などを不正に取得しているとの新聞報道などで、調査業者の社会的信用は大きく低下致しました」
「調査業者は『違法に個人情報を収集している』という意識が国民(消費者)の多くの方々に深く刻まれてしまいました」
強烈な危機感の表明である。当面の活動には政治家を招いた研修会や政治家との懇談会を計画し、
(1)調査業の社会的必要性を訴える
(2)調査活動が社会の安全・安心に寄与することの理解を得る
(3)合法な範囲の調査活動を認めてもらう
などを目的としている。
そこで、まずは政界での理解を得ようと意図しているのだ。
アプローチ対象にしている政治家は発表されていないが、たとえば警察庁OBで探偵業法の制定に関わった前衆議院議員のH氏などが有力な候補になるのではないか。H氏は前回の総選挙で“民主党の風”に敗れたが、1959年生まれとまだ若く、今回の選挙では復活できる公算が強いとみられている。
連盟は「この活動は長期間かかると予想される」と述べている。政治家にとって探偵業界は票田になるわけでもないし、スポンサーになれる資金力も乏しい。選挙対策ではなく、真に業界の健全な発展に共感してもらえるアプローチが必須であろう。
(文=編集部)