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垣田達哉「もうダマされない」

財務省の姑息な策略 国民生活を破壊、欠陥だらけで破綻した消費税還付案の「狙い」

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表

 レジでは、いろいろなことが起こる。1人のレジ対応で平均5秒増えると、12人で60秒(1分)増える。120人で10分増えることになる。レジ待ち時間が増えることは、客も店も困ることだ。特に店側にとっては、レジ待ち時間が長くなることは、致命的な欠陥になるので、レジ台数を増やしてキャッシャー(レジ係)も増やさなくてはならなくなる。

複雑な操作

 レジで精算するというのは、何もないときはスムーズに見えるが、実はいろいろなトラブル対応ができるようになっている。例えば、マイナンバーカードを忘れた場合(後出し)、失くした場合(再発行)、商品を返品した場合、それぞれの場合にマイナンバーカードでも対応しなければならない。

 どんなシステムかにもよるが、基本的には事業者側のデータとマイナンバーのポイントと、両方のデータを分けて管理しなければ対応が難しい。カードを忘れた場合、いつ(レジ清算直後、数時間後、数日後等)後出しされるかわからないが、事業者側のデータは変更する必要はなくても、マイナンバーカードのポイントを増やさなければならない。センター側には、新しいデータを送るだけだが、店側は過去の購入履歴から拾い出し、店側の売り上げにはカウントせずに、センターだけに購入履歴を送信しなければならない。

 そんな煩雑で複雑なことはレジではできない。サービスカウンターなどで対応することになるが、非常に面倒な作業を強いられることになる。再発行にどう対応するのかも考慮し、システム構築しなければならない。返品の場合は、事業者側のデータもマイナンバーカードも減算しなければならない。

 こうしたイレギュラー(トラブル)対応を、事業者とセンターと、どちらが何をするかということを決めなければならない。具体的なシステム設計とオペレーションを決めなければ事業者の負担がどのくらいになるかは想像すらできない。

 しかも、こうした対応は中小企業になればなるほど不得意な分野だ。中小企業では、操作ミスやデータの送信間違いも頻繁に起きるかもしれない。送信された間違ったデータを修正することになれば、操作はより複雑になる。果たして、そんな操作を中小企業ができるのだろうか。

後出しのレシート対応も意外と面倒

 財務省案でも、マイナンバーカードを忘れた場合、レシートを取っておけば後日まとめてポイントに換える仕組みをつくるとしている。どんな仕組みをつくるにしても、レシートにポイント還元したかどうかの証拠を残さなくてはいけない。駐車場の駐車券に印を押してもらうようなものだ。消費税の還付にそんな三文判でいいのかという問題もあるが、レジ係がレシートに印を押す行為は、ひと手間増えることになる。駐車券に印を押す行為とダブる事業者も出てくるだろう。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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