ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 財務省、姑息な策略で国民生活を破壊  > 2ページ目
NEW
垣田達哉「もうダマされない」

財務省の姑息な策略 国民生活を破壊、欠陥だらけで破綻した消費税還付案の「狙い」

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表

店頭一律10%でも、事業者は8%で管理しなければならない

 店頭で10%の商品を販売し、8%対象商品か非対象商品かの判別を還付申告センター側でするとしても、小売店や飲食店でも、どの商品が対象なのかはレジ側で管理せざるを得なくなるだろう。消費者に、10%の商品か8%の商品かを国が告知しても、消費者はそれを常時覚えているわけではない。当然、購入時や飲食時に店側へ問い合わせる。小売店は、消費者が購入する前に8%かどうかを知らせる必要があるので、値札や棚カードなどで消費者に告知することになる。飲食店はメニューで告知することになるだろう。

 しかし、消費者と国(還付センター)とを結びつける客観的な証拠はレシートになる。そうなると、消費者はレシートにどの商品が8%なのかを印字(印刷)してほしくなる。いちいち還付センターに問い合わせたり、ネットで検索して調べるより、レシートに8%と表示してあれば、8%の商品や飲食をどのくらい購入したかがすぐわかる。

 「そんなサービスを事業者がする必要はない」というかもしれないが、還付金額が間違っているのではないかと思う消費者は、還付センターだけでなく、小売店や飲食店に購入履歴を問い合わせる可能性がある。その時に、消費者のレシートと事業者側のデータを照合し、どれが8%対象商品かを調べ、電卓で計算するようなことは、とても事業者側ではできない。レシートに8%対象商品の金額はいくらかを印字したほうが、事業者にとっても消費者にとっても楽になる。

還付センターで対象品を区別するのは負担が大きい

 マイナンバーカード自体やスキャナーで、8%対象商品かどうかを判別するのは難しい。そうなると、還付センターで個々の消費者のすべての買い物・飲食履歴のデータを集計して、判別することになる。これは、システムとしてはかなり重い。それだけではない。客との金銭のやり取りというのは、さまざまなトラブルが発生する。後述するが、こうしたイレギュラー対応を還付センター側でどこまで可能かという不安がある。

 8%対象商品だけのデータを事業者からセンターに送信するほうが、センターとしての負担は軽くなる。そうなれば、事業者側で8%と10%の商品データを管理しなければならない。その場合、消費税は全品一律10%となり、消費者への還付だけのために8%の商品管理をしなければならなくなる。センターの負担を軽くすれば、事業者の負担が大きくなる。

 これでは、店頭では10%でも、実質事業者側で軽減税率対応をすることになる。財務省案でも、事業者の負担が軽減されるとはいえない。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

財務省の姑息な策略 国民生活を破壊、欠陥だらけで破綻した消費税還付案の「狙い」のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!