新卒で年収600万円超も…薬剤師、ドラッグストアvs.調剤薬局の争奪戦激化

ドラッグストアのライバルは調剤薬局に?

 ココカラ争奪戦の余波は、ドラッグストア業界のみにとどまりそうにない。

 これまで、ドラッグストアのライバルはコンビニやスーパーと見られていた。ドラッグストアは安価な食品や日用品の品揃えを増やしてコンビニやスーパーの顧客を奪い、利益率の高い医薬品を売ることで売り上げを伸ばしてきた。しかし、今後はドラッグストアの最大のライバルは調剤薬局になりそうだという。

「長らくドラッグストアと調剤薬局は棲み分けされてきましたが、ひとつの理由として、ドラッグストアに就職する薬剤師が少なかったことが挙げられます。しかし、最近はドラッグストアが積極的に薬剤師を雇用しています。調剤薬局は大手でも新卒の給料は400万~500万円程度ですが、人材の獲得競争が激しいドラッグストアでは新卒で500万~600万円。さらに、地方ならそれ以上出すというケースもあります」(同)

 また、近年「かかりつけ薬剤師」を増やしたい国の方針によって、調剤報酬が大幅に変更されている。大病院の前に並ぶ「門前薬局」の点数が抑えられ、駅前やロードサイドに店舗が多いドラッグストアのほうが調剤で稼げるようになった。

 追い風に乗って、ドラッグストアは約7.8兆円の調剤薬局市場を切り崩すため、高給で薬剤師を確保し、調剤併設店舗を増やしている。ココカラは前身のセイジョー時代から調剤に力を入れており、その点も魅力だという。

 一方で、攻めに転じたい調剤薬局の業界再編も活発化しそうだ。花木氏は「コンビニやスーパーが調剤薬局と連携する流れが加速している」と述べる。

「セブン&アイ・ホールディングスは調剤最大手のアインホールディングスの株を約8%持つ大株主です。セブンと小売業界のトップを争うイオンも調剤8位のメディカル一光の株を25%以上持っています。これまでの業界の壁を越え、小売店、ドラッグストア、調剤薬局が入り交じるような形で再編が進むでしょう」(同)

 イオンは、ドラッグストア業界1位のツルハホールディングスと、2位のウエルシアホールディングスの筆頭株主でもある。今後の業界再編の中心になるのは間違いない。

 スーパー、コンビニ、ドラッグストアの境界線はすでに曖昧だ。各社は激しい競争を繰り広げながら、虎視眈々と相乗効果が期待できる調剤薬局を狙う。ココカラをめぐる今回の動きは、小売業界全体を巻き込む大再編の幕開けにすぎないのかもしれない。

(文=奥田壮/清談社)

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