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高杉康成「コンセプト・シナジーな経営戦略」

リクナビ問題、AI時代の恐ろしさを象徴…個人データを勝手にスコアリングされ不利益

文=高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

 これにより、消費者にとっては審査に時間が短縮される、資産が少ないなどの理由で購入できなかったものが購入できる、といったメリットを得ることができます。半面、スコアリングによってさまざまな「不利益を被る可能性」もあり、場合によっては、その人の人生を変えてしまう可能性も否定できません。

 日本では、クレジットカードの利用や割賦販売時に利用される「クレジットスコア」があり、購買や支払い履歴をもとにスコアリングする「クレジットヒストリー」としてかなり昔から運用されています。これがビッグデータビジネスとして新たな発展を遂げ、「信用スコア」として運用されることは容易に想像がつきます。

 そして、その「信用スコア」は、消費者にメリットを与えてくれるだけではなく、「不利益」を生み出す可能性も否定できません。そもそもAIというのは、その分析の中身はブラックボックス化されるため、人間が理解することは非常に難しいのです。逆に言うと、人間ができないからこそAIにやらせる価値があり、その代償として、分析、判断の透明性が著しく低くなるというデメリットも存在するのです。

 キャッシュレス化が進み、成長産業といわれているビッグデータビジネスが加速する。消費者は、日常的にICカードで買い物をして、インターネットを閲覧し、SNSで友達と会話をする。その一つひとつの行為自体が、将来の「信用スコア」の基データ、あるいは「プロファイリングデータ」として蓄積される。そして、ブラックボックスの中でAIがすべてを判断する。近い将来、いや、数年後にはこういった社会が確実に到来し、内定辞退予測の問題と同様の問題が、あなた自身にも確実に起こるだろう。

(文=高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士)

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

経営学修士、中小企業診断士、岡山県立大学地域創造戦略センター客員教授
神戸大学大学院 経営学研究科 博士後期課程中退(経営学修士、MBA)。日本屈指の高収益企業、キーエンスの新商品・新規事業企画担当を歴任。退職後、新規事業や新製品開発、ビジネスの付加価値向上などの分野において、大企業から、中小企業まで幅広い業種・企業の指導に携わる。一般消費者向けの小売店、ネット販売企業などにおいても、ビジネスモデルの転換、収益力向上、新製品開発などで数多くの実績がある。
最近では、次世代自動車(CASE)、次世代通信、ロボット、AI、IoT、VR・AR、農業クラウドサービスなど、さまざまな最先端・成長業界における新規参入の支援を、上場企業をはじめ全国の企業に行っている。こういった企業への指導実績から、テクノロジーについても非常に詳しく、最先端分野の知見を有している。専門分野は、ブルーオーシャン戦略、事業戦略、技術経営(MOT)、Webマーケティング。
コンセプトエナジー株式会社

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