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牧田幸裕「得点力を上げるための思考再構築」

トップ高校生の進学先が多様化 日本の大学「教え方」改善に競争力向上のチャンス?

文=牧田幸裕/信州大学学術研究院(社会科学系)准教授
トップ高校生の進学先が多様化 日本の大学「教え方」改善に競争力向上のチャンス?の画像1東京大学・赤門(「Wikipedia」より/Plugwash)

 2015年11月2日、東京大学で初めての推薦入学の願書受付が始まった。国内の大学が学生募集の多様化を図る一方で、高校生もその進学先を多様化させている。

 都内随一の進学校、開成高校でも高校生の進学先が多様化し、国内大学のみならず海外大学への進学が徐々に増えつつある。開成高校ではホームページで生徒の大学合格者数・進学者数を公開しているが、13年度以降は海外大学の合格者数・進学者数も公開し始めている。

 13年度は、米ハーバード大学をはじめとしてカリフォルニア州立大学、イェール大学など9名が合格。3名が実際に進学している。一方、東京大学に合格しながら入学を辞退したのが2名。

 14年度は、ハーバード大学、プリンストン大学など5名が合格。1名がハーバード大学に進学。この年も、東京大学に合格し、入学を辞退した生徒が1名いる。

 15年度は、海外大学進学が普及し始め、ハーバード大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、イェール大学などに17名が合格し、そのうち6名が進学している。一方、東京大学入学辞退者は1名。ちなみに、灘高校からは、ハーバード大学へ1名合格、筑波大学附属駒場高校からはオックスフォード大学を含め4名合格している。

 日本のトップ高校でも、まだまだ海外大学進学が一般化しているとはいえず、東京大学が海外大学の滑り止めになっているわけでもない。しかし、世界大学ランキングで東京大学が43位、京都大学が88位と順位を大きく落としている中で、今までと同じ状況が今後も続くとは考えられない。

 筆者が京都大学に通っていた1990年代、世界大学ランキングで東京大学はおおむね10位以内、京都大学も15位前後だった。したがって、この四半世紀で相当順位を落としたことになる。そこで、東京大学も京都大学も現在、躍起になって競争力を回復しようと、いろいろな策を施し試行錯誤しているのだ。

海外の大学へ進学する

 世界大学ランキングでは、台湾でも台湾大学が順位を落とし、前年の155位から167位となっている。ご存じの方も多いと思うが、台湾、特に台北は日本以上に受験競争が厳しく、街中を歩いていても、進学実績をアピールする塾の広告が目立つ。

 台湾の最難関高校は、男子高の台北市立建国高級中学。その次に、女子高の台北市立第一女子高級中学、国立台湾師範大学附属高級中学と続く。建国高級中学では、海外大学進学者が13年度の26人から大幅に増え、14年度は中国本土の大学へ20名、欧米大学へ20名、合計40名が進学。13年度のデータしかないが、海外大学へは第一女子高級中学が35名、師範大学附属高級中学が26名進学している。

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年、日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科助教授。2007年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科准教授。2012年、青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 非常勤講師。2016年、長野市産業振興審議会 副会長。2018年7月より現職。
牧田 幸裕|note

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