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片山修「ずたぶくろ経営論」

自動運転車、圧巻の試乗体験…急な割り込みや歩行者に対応、車線変更や合流も

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
自動運転車、圧巻の試乗体験…急な割り込みや歩行者に対応、車線変更や合流もの画像1トヨタの自動運転車のデモンストレーション

 ここにきて、自動運転が一気に現実味を帯びてきた。しかも、日本で――。それはなぜか。

 第44回東京モーターショー2015で燃料電池車や電気自動車など次世代エコカーと並んで、大きな期待とともに注目を集めたのは、自動運転車とその技術である。

 トヨタ自動車は10月6日、自動運転車による高速道路のデモンストレーション走行を実施した。私は、テストドライバーが運転する「レクサスGS」をベースにした自動運転車両に試乗し、首都高湾岸線有明インターチェンジから辰巳ジャンクションを経由し、福住インターチェンジまでの片道5.5キロを走行体験した。

 有明入口で料金所のゲートをくぐると、ドライバーはステアリングホイールについているボタンを押し、自動運転モードに切り替えた。ハンドルから手を放し、両手を広げるおなじみの自動運転ポーズに入った。車は、自動的に制限速度の70キロを維持して走る。

 カーブにさしかかると60キロほどに減速し、ドライバーが手を動かしていないのに、ハンドルはぐるぐる回る。車線変更では、これまた自動的にウインカー指示を出し、少し減速して並走していた車を先にいかせたうえ、車線を変える。なめらかなカーブ走行といい、スムーズな車線変更といい、想像以上に感動的な走りだった。「ついに、ここまできたか」というのが実感だった。

 じつは、トヨタは自動運転に対してそれほど積極的ではないといわれてきた。ところが、“自動運転積極派”に変身したのだ。トヨタ社長の豊田章男氏は、11月6日に開かれた「人工知能(AI)を研究開発する新会社の設立会見」の席上、次のように語った。

「私は以前、パラリンピックの選手は、ウェルキャブ(福祉車両)が一番、最適な車なんじゃないかと自分本位の考え方をしておりましたが、東京オリンピック・パラリンピックの支援をするなかで、いやいやと考え直しました。パラリンピックの選手から、もっとかっこいい車に乗りたいんだという声を多く聞くようになり、自動運転の活用の仕方は、私の考える以上のものがあるのではないかと思うようになりました」

 トヨタは、公開されたような高速道路上で車線変更や合流、追い越しが自動でできる市販車を2020年頃に発売すると発表した。ホンダも11月、東京都内の首都高速道路でハンドルやアクセルから両手を放しても道路状況を判断して走る自動運転車の試乗会を開いた。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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