圧巻の日産自動車
もっか、自動運転の圧巻は日産である。10月29日から電気自動車「リーフ」がベースの自動運転車の走行を公開した。トヨタやホンダが高速道路での走行だったのに対して、より難易度の高い一般道での自動運転だ。
私は、自動運転車両の開発責任者である日産電子技術・システム技術開発本部ADAS&AD開発部ADAS戦略企画・統括グループ部長の飯島徹也氏自らが運転する自動運転実験車に試乗した。コースは、江東区のお台場付近の一般道の17キロだ。
飯島氏がセンターコンソールに設置された「パイロットドライブコマンダー」というボタンを押すと、実験車は自動運転に切り替わった。自動運転とは気づかないほどスムーズな走りだ。速度メーターを見ると、49キロを示している。左車線を並走するバイクの追い抜き、さらには同車線からの割り込みも自動運転で減速しながら難なくやり過ごしていく。左折の途中で車両左側の横断歩道に人が入ると、これも認識して車はストップし、人の通過後に再発進した。
周囲車両とのコミュニケーション、障害物の検知などを手動運転よりも確実にこなしながら、自動運転走行を続けるではないか。信号も黄、赤をハッキリ識別する。感動ものだ。
「ハイマウントに8つ、ローマウントに4つの計12台のカメラと5つのレーザースキャナーが搭載され、車両の周囲360度の状況をリアルタイムでモニタリングしているんです」と、両手を広げたポーズで運転席に座る飯島氏は説明する。
50メートル、80メートル、150メートルと焦点距離の異なるカメラが搭載され、障害物のほか、車線や信号、標識などを認識することが安全な自動運転につながっているのだ。もっとも先端的なのは、米シリコンバレーのASC製のレーザースキャナーだ、と飯島氏は続ける。
「このレーザースキャナーは、世界初の搭載です。高速であれば車間距離が広がりますから、1メートル単位でいいのですが、一般道では車との距離が詰まってきて、例えば横のバイクとの接近距離が1メートルを切ることもある。そうなると、2、3センチで距離を測りたい。それができるのが、このレーザースキャナーなんですね」
実際、自動運転車が走行中に減速し、軽くブレーキが作動する場面があった。カメラが歩行者を認識したためである。この自動運転車両の一台の開発費用は、約1億円だという。私は、自動運転車の実用化は意外と早く実現するのではないかと感じた。