日産は、自動運転車を三段階を踏んで市場に導入する計画だ。まず、16年に高速道路の同一車線上での自動運転システム、18年に危険回避や車線変更を自動的に行う、複数レーンでの自動運転技術導入。そして、20年にはドライバーの介入なしに、十字路や交差点を自動的に横断できる自動運転システムを搭載した車の発売を計画している。
日本の先端技術
日本の自動車メーカーが自動運転の分野で世界をリードする存在なのは、いったいなぜなのか。
第一に、日本には世界に冠たる半導体、人工知能、センサー、カメラなど、最先端技術がある。それを今回の東京モーターショーで見せつけた。指摘するまでもなく、現代の車はカーナビなどの情報収集にとどまらず、安全確保に電子機器をフル活用することが求められる。いまや電機メーカー、ITメーカーなくして車そのものが成り立たない。ましてや、自動運転となれば余計にそうである。
であるとしたならば、日本の電機メーカーの出番は、限りなく増えてゆく。それどころか、米国の自動運転をリードするグーグルに象徴されるように、日本でも11月13日、日立が自動運転の実験車のテスト走行を行った。
今回の東京モーターショーには、日立オートモティブシステムズ、三菱電機などの電機メーカーがブースを構え、さまざまな電子車載機器を出展していたのが目を引いた。
日立オートモティブシステムズ会長兼CEOの大沼邦彦氏は、モーターショーのプレスブリーフィングの席上、安全性に加えて、省エネ、乗り心地に配慮した「スマートADAS(先進運転支援システム)」を開発中だとして、次のように説明した。
「走行中、カメラの画像認識や地図情報をベースに必要な駆動力を予測して、エンジンを停止したり、また、ステアリング、ブレーキなどを制御して、スムーズな挙動で快適性を向上するシステムを提案していきます」
日立グループは15年9月から、市街地での自動運転走行を視野に、米国ミシガン大学キャンパス内の「Mcity」において、この「SMART ADAS」の実験を行っている。「Mcity」は、信号機や標識などのほか、雪や氷などの過酷な路面を含めて、実際の市街地に近い環境が再現されるなど、自動運転車両が市街地走行時に直面するさまざまな状況のシミュレーション施設が整備されている本格的な実験場である。