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日本のビール類市場は約549万kl(13年、前年比1.9%減)。世界7位の規模だが、世界市場に占める割合は2.9%にとどまる。日本のビール会社の特徴は、いずれも清涼飲料事業を持っていることだ。ABインベブにとっては、ビール類そのものよりも飲料事業の可能性がM&A投資の判断基準となるのかもしれない。また、ビール類の税体系は段階的に一本化されていくが、このことにより買収後のリストラ計画は立てやすくなる。
ABインベブは、合理的で倹約を好むブリト氏の考えが反映され、その経営方針と同様に質素と倹約を尊ぶ社風だという。役員に個室はなく、派手な社内パーティーもない。役員は長距離移動に自家用ジェット機を使わず、民間機で移動する。
一方のSABミラーは、派手めな会社といわれている。英ロンドン中心地にオフィスを持ち、社内パーティーもある。06年9月、筆者は来日したSABミラーの幹部社員5人を相手に、日本のビール市場についてレクチャーをしたことがある。当時はSABミラーが世界首位で、米投資ファンドのスティールパートナーズがサッポロビール株の買い占めに入っていた時期だった。その会場は、都内高級ホテルのスイートルームだった。
かつてキリンとサントリーの統合計画が浮上した際、「企業文化が違う」と指摘されて流れたことがあったが、ABインベブとSABミラーの企業文化は、それ以上に大きく違っている。
日本のビール各社は、国内戦に明け暮れてきた。その間、世界は大きな再編を繰り返してきた。その波が、日本に及んでくるのかどうか。いずれにせよ、消費者から認められる製品をつくり続けることが、買収防衛策につながるのは間違いない。
(文=永井隆/ジャーナリスト)
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