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西武園ゆうえんち大改修、”USJ流”ノウハウ活用で再建図る…森岡毅氏が協力

文=編集部
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 20年には500億円を投じるスーパーマリオエリアの「スーパー・ニンテンドー・ワールド」を開設。さらに、政府や地元の支援を受けるかたちで、沖縄県北部の国営海洋博公園に600億円を投じてテーマパークを新設する計画だった。だが、USJを買収した米ケーブルテレビ大手コムキャストは、沖縄進出計画を白紙に戻した。アジアで相次ぐテーマパーク新設をにらみ、経営資源を大阪に集中して大競争時代に備えることにした。17年1月、森岡氏はUSJを去った。

「刀」を設立

 17年、森岡氏はマーケティング支援会社の株式会社刀を設立してCEOに就いた。刀という風変わりな社名には、2つの意味を込めた。1つは、日本企業の国際戦略上の「1つの武器」になりたいということ。侍にとって刀は武器。現代の日本企業の武器はマーケティング。マーケティングを武器として使ってくれというアピールだ。もう1つは、「ムダをそぎ落とし、本当に企業がやるべき企業戦略を形にする」ために必要な道具の象徴としての刀だ。本当に重要なこと以外はできるだけそぎ落とし、「選択と集中」を実行することで、再生という大事を成し遂げることができるというのだ。

 18年8月、沖縄県でテーマパーク事業の展開に向けた準備会社「ジャパンエンターテイメント」(那覇市)を立ち上げた。オリオンビール(浦添市)やリウボウ(那覇市)など地元の事業者と組んだ。USJ時代に、森岡氏が沖縄にテーマパークを新設する計画を立てていた。

丸亀製麺を復活させた

 刀は、トリドールホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン「丸亀製麺」を再生させた。刀とトリドールHDが提携したのが18年9月。お客の目の前で、小麦粉と水だけでつくった、できたてのうどんを提供するという「最大の強み」をテレビCMで訴求することで、既存店に新規客を呼び込むことに成功した。18年1月以来、既存店の前年同月比の客数は16カ月連続でマイナスだったが、19年5月に増加に転じた。19年5月から9月まで前年同月を上回っている。

 消費者がブランド(商品やサービス)を選ぶかどうかは「確率で決まる」というのが森岡氏の持論。「選ばれる確率は、消費者が無意識に抱くブランドへのイメージと因果関係があり、広告を含めて顧客とのコミュニケーションを有効に行うことで選ばれる確率は高まる」というが森岡流のマーケティングの核心だ。

 丸亀製麺の「強み」は全店に製麺所があり、小麦粉と塩と水だけでつくった、できたてのうどんを提供することにある。こうしたこだわりは丸亀製麺側にとっては自明なことだったが、調査もしてみると、消費者にはあまり知られていなかった。そこで、テレビCMでは、その「こだわり」だけを伝えることに集中。その効果で新規客が増えた。

 西武園ゆうえんちの魅力を、どうやって高め、入場者の回復につなげるのか。沿線人口が減る見通しのなか、西武鉄道は所沢駅周辺や球場の再開発との相乗効果で集客力を高める戦略だ。すご腕のマーケター、森岡氏の腕の見せどころである。

(文=編集部)

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