テーブルにぶちまけられる料理、飛び散るソース
そんな中、まず紙に包まれたサラダが出てきた。もちろん、サラダも手づかみで食べるため、フロア端に設置された手洗い場で手を洗い、戸惑いながらも手を突っ込む。ドレッシングのついたレタスを手でつかみ、ベーコンやトマトをくるんで頬張ると、早くも手はドレッシングまみれに。
続いて、メインディッシュの入ったビニール袋を持った店員が登場する。そして、袋から絞り出すようにテーブルの中央に料理がぶちまけられ、ケイジャンソースにまみれたかに、えび、いか、じゃがいも、とうもろこし、にんじんなどが、白いテーブルクロスを真っ赤に染めた。
ビニール袋から直接テーブルに料理を広げるというのも、現地のスタイルそのままであり、「FINGERS」を除いて、他店も同様だ。しかし、目の前で見せられると「この、テーブルに広がった料理を手づかみで食べるのか……」という気にさせられる。
ドレッシングまみれの手を洗い、覚悟を決めて手を突っ込むと、やはりものすごい違和感があった。こわごわと、じゃがいもやトマトから食べ始めるものの、当然ながら、あっという間にソースで手がベチャベチャになる。
その手で、かにを食べるためにはさみを入れるが、手が滑ってうまく切れずに悪戦苦闘した。やっとの思いでかにに切れ目を入れると、今度はソースが自分の顔に飛んできた。
味そのものは、「少し辛いケイジャンソースで食べるバーベキュー」といった感じで悪くないが、食べ進めるうちにテーブルクロスはどんどん汚れていくし、かにをはさみで切るたびに、自分や相手にソースが飛ばないか気になってしまう。正直、このスタイルが人気を集めている理由がまったくわからない。
手づかみスタイルは一過性のブームで終わる?
しかし、そんな筆者を尻目に、女子グループやカップルが次々と入ってくる。店員の話では、「全体の7割は女性のお客様」とのことだ。女性客の1人に話を聞くと、「このお店を知ったのは、テレビの人気番組で紹介していたから。好奇心から来てみたけど、やっぱり手づかみは違和感があるし、食べにくい。たぶん、もう来ないし、定着もしないんじゃないかな」と語った。
筆者も同じ意見だが、なぜ手づかみレストランがはやっているのか、それなりに分析すると、以下のような要素が浮かんできた。
(1)女性は、はやりものが好きだから
(2)新業態として好意的に取り上げるメディアの影響による
(3)フェイスブックやインスタグラムなどのSNSにアップするための、ネタ探しの一環として利用されている
(4)大勢でワイワイと食べるため、バーベキュー的なアトラクション感を味わうことができる
おそらく、こんなところではないだろうか。