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武田薬品、最大の危機…業界帝王がトップ陥落か 容赦なき事業切り離しで解体的改革

文=編集部

 世界8位のアストラゼネカは、欧米のビッグ・ファーマ(大手製薬会社)のM&A合戦の渦中にある。14年春、世界首位の米ファイザーがアストラに買収を提案した。その時の金額はなんと10.2兆円。買収提案を拒否し、独自路線を貫いている。さらに、M&Aの標的にならないためにアストラはM&A攻勢に打って出た。15年11月、高カリウム血症の治療薬を開発中の米ZSファーマを3300億円で買収。12月にはオランダと米国に拠点を置く抗がん剤を開発中のベンチャー企業、アセルタ・ファーマを4900億円で手に入れると発表した。

 アストラは主力の高コレステロール血症治療薬クレストールが米国で特許切れになったのを受けて、買収で活路を開こうとしている。武田から呼吸器薬事業を買収するのは、その一環だ。

国内製薬トップの座が危機に

 武田の15年3月期連結決算の最終損益は1457億円の赤字となった。1949年の上場以来初めての赤字転落だ。99年に発売したかつての主力薬アクトスに対して、米食品医薬品局が長期服用することで膀胱がんの危険が高まると指摘。集団訴訟の対象になり、和解金や訴訟関連費用など3200億円を引当金として計上して赤字に陥った。

 16年3月期の最終損益は680億円の黒字になる見込みだ。しかし、国内2位のアステラス製薬の1750億円に大差をつけられ、3位の第一三共の750億円にも及ばない。

 武田は収益力を回復させるために後発薬を切り離し、呼吸器薬事業を売却。経営資源を新薬開発に集中する。武田は08年にバイオベンチャーの米ミレニアムを9000億円かけて買収。手に入れたがんや消化器領域の新薬候補が、ようやく発売時期を迎えつつある。

 武田は特許切れ薬の切り離しで、大幅な減収になることは避けられないだろう。500億円程度の減収にとどまるかどうかは予断を許さない。大型の新薬が育つのは先のことになる。

BusinessJournal編集部

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