「彼氏とかいなくて迷惑で無ければLINEしませんか?」「ナナコカード進めた従業員です笑」【※原文ママ】
先日、女性客がツイッターに投稿したセブン-イレブンの男性店員とのやり取りが大きな話題になった。この女性客は、電子マネーカード「nanaco」作成のために申込書に氏名や住所などを書き込んだところ、男性店員からフェイスブックを通じて冒頭のようなメッセージが届いたという。
交際を求めるような内容に、女性は「nanacoカード、キケン。気をつけようね!」「こいつが働いてる限りこのコンビニには行かない怖い」と嫌悪感をあらわにしている。
これは昨年8月の出来事で、今年1月に女性客がツイッターで公開すると、個人情報が不正に利用されたことに対して、インターネット上では「新手のナンパなのか」「これはやってはいけない」「店員として個人情報を預かる自覚が足りない」などの声が相次いだ。
コンビニエンスストアに限らず、サービス業の店員であれば顧客の個人情報を預かる機会も出てくるだろう。預かった個人情報を盗み見たり、本来の目的外のことに利用したりすると、どんな法的責任が生じるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役・弁護士の山岸純氏に聞いた。
「まず『個人情報』とは、氏名、性別、住所、生年月日などの個人を特定できる情報のことです。利用客がnanacoカードを申し込む際、氏名や住所といった情報を申込書に記入し、セブン側はそれらをデータベース化すると思われるため、今回の情報は法律上の『個人情報』に該当すると考えられます。
また、nanacoの会員数は5000人以上と思われるため、セブンはnanacoカードに関する個人情報を5000件以上保有していることになります。この場合、セブンは法律上の『個人情報取扱事業者』として、さまざまな規制を受けることになります。
例えば、個人情報を取得する際は、それを何に利用するのかを公表する必要があり、それ以外の目的で利用してはいけません。さらに、個人情報取扱事業者は個人情報のデータベースの安全管理義務があります。集めた個人情報を第三者に提供することが制限されたり、従業員の個人情報の取り扱いについても、監督したりしなければなりません」(山岸氏)
不正な個人情報収集で逮捕者も
今回の場合、セブンがnanacoカードの申込書に個人情報を記載してもらう理由は、会員となる女性客にnanacoのサービスを提供するためであり、「店員が交際相手を見つけるため」ではないことが明らかだ。山岸氏は「その点において、前述の規制に違反します」と解説する。