ぐるなびは15年4月、ミシュラン掲載店の予約代行サービス「クラブミシュラン」を始め、15年4~9月期の連結売上高は前年同期比5%増の163億円(15年3月期の通期の売上高は326億円)を上げた。
価格比較サイト「価格.com」で知られるカカクコムは、グルメサイト「食べログ」も運営している。レストランを利用したユーザーから寄せられたクチコミ・評価を基に各レストランを5点満点でランク付けしている。月間利用者数は15年9月末現在で6830万人。飲食店を探す人がよく利用する、人気の高いサイトだ。
食べログの掲載店舗数は約82万店。掲載店からの手数料が営業の柱だ。15年3月期の食べログ事業の売上高は前期比62%増の124億円と急成長している。
リクルートライフスタイルが運営する「ホットペッパーグルメ」の加盟店は3万3000店で、無料クーポン誌と提携してサイトに客を呼び込むスタイルだ。15年3月期は通期で2529万人だったが、4~9月期は1691万人のネット予約があり、さらなる拡大が見込まれている。
世界トップのレストラン予約サイト「オープンテーブル」
ネット予約は宿泊や航空券など旅行分野で先行して普及したが、レストランのネット予約はそれほど普及しなかった。お客がレストラン予約サービスを利用する一番の動機は、電話予約ができないほどの人気店の席をキープすることにある。一方、人気店は予約サービスにわざわざ手数料を払わなくても満席にできるので、予約サイトを利用する動機がないのだ。
ここにきて飲食店の予約サイトにスポットが当たるようになったのは、訪日外国人の急増が原因だ。欧米ではレストランをオンライン予約するのが一般的となっており、予約サービス向けに米大手旅行サイト「プライスライン」傘下の飲食店予約サイト「オープンテーブル」は昨年、日本での拡大を本格化させた。
1999年にレストラン予約サイトを開始したオープンテーブルは、今や圧倒的な存在感を誇る。米国、カナダ、英国、メキシコ、ドイツ、日本の6カ国で展開し、レストランの掲載数は3万2000店、予約数は年間7億6000万人を超える。外国人観光客が増え続ける日本は有望な市場と判断し、大手旅行サイトとレストラン予約サイトのワンセットで日本市場の開拓に乗り出したのだ。
2015年の訪日外国人数は1973万人で前年比47%増と爆発的に伸びたが、日本の旅行会社が潤ったわけではない。訪日外国人は自国の旅行会社を通じて日本にやってくるからだ。
外国人観光客のお目当ては爆買いだけではない。食が楽しみだが、見ず知らずの土地でレストランを探すのは容易ではない。外国の旅行会社と提携して、レストランの予約ビジネスを拡大させる絶好のチャンスが巡ってきた。
JTBが飲食店予約サイトに進出した理由は、まさにこれだ。
(文=編集部)