バレンタイン休暇と失恋休暇、あの企業が導入で劇的効果？

副業OKで本業にも好影響

　さらにリツアンでは、「副業OK」という社内ルールがある。社員の一人は副業としてインターネットで物販を手がけ、月20万円の収入にもなっているという。その社員、川村氏（仮名）に副業をしている目的を聞いてみた。

「社員になる前からネットビジネスに挑戦していましたが、あまりうまくいっていませんでした。ネットビジネスの勉強をしてきたことが成果につながらず、一度は挫折しましたが、いつかは成功させたいと考えていました。

　リツアンでは副業OKということだったので、土日に時間を割いてネットビジネスに再度挑戦しました。徐々に成果が上がるようになり、本業にも良い影響を与えています」（川村氏）

　川村氏は将来独立することが夢だそうだ。派遣社員という柔軟性の高い働き方を選んだのも、自分の可能性をいろいろ試したかったからだという。

「川村氏は派遣先企業（大手メーカー）でも非常に評価されています。給料も人並み以上にもらっています。副業で成功できる人は、本業でも卓越した成果を上げるものです。

　派遣社員というと、マイナスのイメージがどうしてもつきまといます。しかし、それはあまりにも偏った見方であって、川村氏のように自分の可能性を試す人は、良い意味で派遣の仕事を利用しています。人生は一度きりなのですから、自分の可能性を広げために、なんでもやってもらいたいです。

　自由に生きられる時代に、それをサポートしていくことが現代の会社の役割だと考えています」（野中氏）

「バレンタイン＆失恋・特別休暇」や「副業OK」という型破りな経営を実践する野中氏の思いに共通するのは、「自由」と「可能性」だ。

「性善説に基づいて社員に自由と可能性を提供すれば、リスクを抱えかねない」と考えるのが一般的な経営者だろう。

　しかし、自由と可能性を提供することで成功している会社があるということは、新たな経営スタイルのヒントがあると考えるべきではないだろうか。
（文＝鈴木領一／ビジネス・コーチ、ビジネスプロデューサー）