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アマゾンと出版社、容赦ない取次「外し」加速…問われる取次の存在意義、存亡の危機か

文=佐伯雄大
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 この声明が異例なのは、一書店の仕入れ方法を出版社の団体が牽制したことだ。アマゾンと出版社は個々に契約して直取引を行っている。それ自体、ビジネス上はまったく問題がない。それを事業者団体が楔(くさび)を打ち込むかのような行為に出ること自体が珍しい。アマゾンへの脅威が、彼らの背中を押したのかもしれない。

アマゾンの攻勢

 話を冒頭の1月28日の説明会に戻そう。その席でアマゾンは、昨年4月にKADOKAWAがアマゾンと直取引を開始した話を持ち出した。具体的な数字は明らかにはしなかったが、KADOKAWAの出荷売上は大幅に伸長し、在庫あり率は8%改善、搬入リードタイム(注文からアマゾンの倉庫に書籍が届けられるまでの期間)は4日に短縮したそうだ。さらに、全体の出荷金額をベースとした直取引比率が昨年12月は31.2%と単月としては過去最高を記録したとも付け加えた。

 アマゾンは年末年始から異常な状況が続いているとして、1月下旬頃に「緊急事態」と称するメールを特定の出版社に通知した。書店から卸会社・日本出版販売や大阪屋への注文に対し、どれだけ在庫があるのかを示す割合のことを「在庫引当率」というが、これが1月に平時の60%を大きく下回り30%を切ってしまい、1月の売上高に多大な影響を及ぼしているというのだ。

 そのため、出版社には取次から発注が来たら迅速に出荷してほしいなどとする「お願い項目」を3つも並べたて、「過去最悪の欠品率を連日記録している緊急事態につき、是非とも出版社様の多大な御協力を頂きたく存じます」としている。

「このメールが来たときは、何事かと思いました。調べてみると、出荷量は減っていませんし、アマゾンの勘違いじゃないかと担当者と話していました。これはまさに取次批判で、出版社へ直取引を促すものです。そのメールには『既に日次で取次様に引当率の改善を申し入れておりますが、残念ながら短期的な解決に至っておりません』と書いていました。さらに、28日には出版社を集めた方針説明会が予定されていました。『取次はダメだから、出版社にとっても直取引のほうがいいし売上も上がる』とアマゾンがアピールしているようにしか聞こえませんでした」(出版社社員)

 説明会に出席した別の出版社社員は語る。

「このメールの件については、説明会の最後にアマゾンから話がありました。アマゾンの想定を超える注文が入り、日販(日本出版販売)も予定外の注文が来たために、取り寄せ処理が追いつかず、雪だるま式に注文がたまっていった結果、こんな事態になったと言っていました。直取引なら対応できたかもしれないと言いたかったのでしょう」

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