借金まみれの貧困・歯科医急増…長時間待たされ治療数分&何度も通院の元凶!回避策が?
もちろん、なかには患者無視の悪徳歯科医もいるので、このような過剰診療という基準はあったほうがいいだろう。しかし、患者のために集中的に丁寧に治療を行おうとしても過剰診療として注意されてしまうため、必然的に回数をかけて少しずつ治療をしていかなくてはならない。
長い時間待たされてやっと診察台に座ったと思ったら、あっという間に治療が終わり、「また来週も来てください」と帰された経験のある人も多いだろう。まさに、あの短時間診療は保険点数を多く上げることと、過剰診療を避けることの狭間で生じている苦肉の治療スタイルにほかならない。患者にとっても歯科医院にとっても不都合な現実なのである。
だが、このような現実であっても、歯科医院と患者双方に良い解決方法がある。井上氏は、保険外診療の重要性を強調する。
「保険外診療は、過剰診療という縛りがなく、集中的に根本的な治療が可能です。保険が適用されないため患者様の経済的負担は大きくなりますが、現状の保険制度において患者様のことを考えれば、保険外診療が最適な選択となり得るということを歯科医師も自覚すべきです。
たとえば、10本の根管治療(歯の根の治療)が必要だった場合、保険診療ならば1本当たり5回の治療が必要で、週に1回通院だと合計50週通わなくてはなりません。実に1年間治療し続けることになります。
しかし、保険外診療ならば、1~数回で治療を終わらせることができます。しかも保険診療よりも遙かにクオリティの高い治療が受けられるので、治療後に虫歯が再発するリスクも圧倒的に低く、結果的にお金も時間も節約できるのです。
事実、いのうえ歯科医院は北海道の帯広にあるにもかかわらず、東京や海外からも患者様が多く訪れています。それがベストの選択だとご理解いただいているからです」(井上氏)
保険外診療が自転車操業から抜け出す道
保険外診療で患者から喜ばれ、歯科医院の経営にもプラスになるWin-Winの関係を築くことができる。しかし、多くの歯科医がそれを知りつつも実践することができない。
「保険外診療に踏み出せない原因は2つあります。ひとつは歯科医の技術不足、もうひとつが『金儲け主義と思われるのではないか』というメンタル面の問題です」(同)
多くの歯科医は、技術を勉強する時間もお金もないため保険外診療を行えず、その結果自転車操業になるという悪循環から抜け出せないのだ。ここから抜け出すには、歯科医としての強い思いが必要だと井上氏は言う。