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代表的な例がアメリカにある。IBMは1911年の創業以来、常に生え抜きの社員が社長職を務めてきた。90年代に巨額の赤字に転落し、企業の存続そのものに危険信号が灯った時に、コンピューターとはまったく無縁なRJRナビスコという食料品メーカーのCEOだったルイス・ガースナーを会長兼CEOとして招いた。ガースナーは大鉈を振るい、IBMを「コンピューター会社」から「情報サービス会社」に改革した。瀕死の巨象は見事に息を吹き返した。
日本にも改革の好例がある。日立製作所は、日本の製造業の歴史のなかで最大の赤字を出した。日立はグループ会社に出されていた川村隆氏を呼び戻して社長に任命した。川村氏は重病人の日立を2年で見事に回復させた。同氏は「日立のグループ会社のトップに本社のOBが多く就任していたので、若い社長ではいくら改革を断行しようと思っても、先輩のグループ会社のトップが言うことを聞かない」と述懐している。
川村氏の場合は、経営能力に優れているという基本的条件を備えているということに加え、本社のしがらみから距離を置く立場にいたことが役に立った、ということだ。そう考えてみると、武田薬品工業が外国人社長を任命したり、資生堂やサントリーホールディングスやローソンが外部からのトップの輸入に踏み切ったのは、いずれも「しがらみ文化」からの脱却を狙った改革策と考えることができる。
「我が社にとって必要な改善と改革は何か」――。経営者にとって、立ち向かわざるを得ない永遠の課題である。
(文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長)
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