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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

老害化した天才経営者・鈴木セブン&アイ会長、なぜ退任に?一介の雇われ経営者の末路

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 つい最近も、LIXILではプロ経営者として招聘された藤森義明社長が創業家の潮田洋一郎氏の主導で更迭され、クックパッド社では穐田誉輝(あきたよしてる)氏が年商を6割も伸ばしたあげくオーナーの佐野陽光氏により社長交代させられた。鈴木氏も「資本と経営の分離」を唱導していたが、結局は「店を任されていた大番頭」としての立場を出られたわけではなかった。

 巨星墜ちたセブン&アイ・グループはどこへ行くのか。単身で鈴木氏に代わることができる経営者などそうはいないだろう。セブン-イレブンは好調なのでこのまま井阪体制で進むのが自然な成り行きだろう。結果として伊藤家の信任を得たかたちとなっているので、当面は安定して経営を進めていくことができる。

 伊藤氏が今回、このような「創業家の意思」を明示したことにより、イトーヨーカ堂の分離は当面なくなった。といっても、それは伊藤氏の目の黒いうちは、という時間的な限定が留保される。一部で鈴木氏の次男・康弘氏をセブン&アイHD会長へ据える動きもあるなどと報道されたが、前述のような資本構造と資本家の意思の発動という成り行きを見ると、そんな動きは「烏滸の沙汰(おこのさた)」としかいいようがない。

 日本の流通業の最大プレーヤー、セブン&アイ・グループの経営の舵を握るのは誰になるのだろうか。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)

※本連載記事が『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディア・パブリッシング/山田修)として発売中です。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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